第17話 幼馴染みは指名手配
私は、
私立中学校に向けて、勉強を頑張っている小学5年生。
私には小学3年生の頃に同じクラスになって、仲良くなった幼馴染がいる。
その名も、岸田君。
岸田君の夢は、騎士になるという変わった男の子。
だけど、そんな岸田君も私立の中学校に向けて、勉強を頑張っている。
ある時、テレビでニュースが流れた。
近所の人を殺したという指名手配犯が、井藤カンナ。
井藤カンナさんには、小学5年生の息子がいて、親子で逃走中とのことらしい。
息子さんは、未成年ということで本名は公開されないけれど、ネットの記事には井藤真と載っていた。
井藤真って、小学2年生の頃に転校してそれきっりの私の初恋でもある幼馴染?
まあ、四国での話だし、私には無縁の話かな?
昔のことは忘れて、私は今を楽しく生きようと思っている。
あと、私に親友ができて、それは小学3年生の頃に転校してきた
かなりのおてんばなんだ。
髪はピンクだけど、一人称は「俺」なの。
転校してきた理由は、いまだに知らない。
だけど、家庭の事情もあるだろうと思って、あえて触れないでいた。
よく岸田君と桃木ちゃんは学校や公園とかでおもちゃの剣を振り回して遊んでいたのだけども、最近は岸田君の方が遠慮するようになった。
「岸田君、俺と騎士になるための特訓しようよ」
「それは、できないな」
「えー、この前はやってくれたのに?」
「女の子と男の子じゃあ、力の差が出てくる」
言われてみれば、最近は女子と男子で一緒にスポーツすることはなくなってきた。
バスケも、ドッチボールも、男子と女子は別々でやっている。
「桃木ちゃん、しょうがないよ」
「ちぇー。
俺達は幼馴染なのにさ」
私は家でも勉強をしているせいか、クラスでは一番成績がよく、担任にほめられることが多かった。
「偉いぞ、西園寺。
この調子で算数、国語、理科、社会、英語の全教科の満点うを継続するんだ」
「はい」
私は常に上位のせいか、妬まれることも少なくなかった。
「何、あいつ調子に乗ってるの?」
ひそひそと私に聞こえるように話す女子たちがいた。
小学5年生くらいになると、女の子達の人間関係が複雑になってくる。
女子同士のグループが結成されたりするけど、私は疲れることを考えて、どこにも所属していない。
女子たちにからかわれることも少なくなかった。
「西園寺さんは、岸田君が好きなの?」
「そんなことないよ。
それに、岸田君のことを好きな人がいるから」
そう。
私は小学3年生の頃から岸田君が好きだけど、諦めている。
それは桃木ちゃんが岸田君を好きだから。
桃木ちゃんからカミングアウトされた時から、自分の気持ちに蓋をすることにした。
「そっか。
中央さんも、岸田君を狙っているもんね」
「そう・・・だから、私は応援するの・・・」
どうしてだろう?
井藤君に振られたこともあって、私は岸田君に告白しようとか思わない。
告白はしないと自分で決めてしまっているから。
私は2年間、岸田君と友達でいれて、やっと幼馴染という関係になれた。
恋人になれないだけではなく、友情まで壊したくなかった。
「あたしも、岸田君を好きだから応援しなきゃね」
この声は、女子グループのリーダーのチアちゃんだった。
目つきがつるどく、髪を小学生にて茶髪に染めている。
ピアスもつけていて、先生も注意ができないくらい不良という噂がある。
「チアちゃんも、岸田君が好きだったの?」
桃木ちゃんが岸田君を好きなのは知っていたけれど、他にも好きな人がいるなんて思わなかった。
最強の騎士になることを目指していて、
異世界の存在を本気で信じているような厨二病じみた人でも、異性として意識する人はいるんだあ。
「そうよ。
文句でもある?」
「ないけど、よかったね。
おめでとう。
だけど、ライバルとかいるけど大丈夫なの?」
勝ち気な桃木ちゃんは、好きな人を譲ってくれなさそうだ。
岸田君をめぐったチアちゃんと桃木ちゃんのバチバチが脳裏に浮かぶ。
「そんなの奪い取るに決まっているじゃない?
ライバルなんて関係ないわ。
ちなみに、あたしは中央さんとか、西園寺さんが一緒にいるところも許せないの」
「ごめん。
チアちゃんの気持ちに気づかなくて。
そしたら、私は岸田君と距離を置くことにするね」
「最初からそうすればよかったのよ」
私はこの後に女子トイレで一緒になった桃木ちゃんを説得することにした。
「・・・というわけで、チアちゃんは岸田君を狙っているの。
桃木ちゃん、しばらく距離をとろ?」
「やだ」
「え?」
桃木ちゃんから、そんなことを言われるなんて想像もしていなかったので、私は動揺してしまった。
「チアちゃんは、女子グループのリーダーなんだよ?
いじめられちゃうって」
「それでも、嫌なの。
俺は、岸田君が好き。
好きな人と一緒にいることは悪いことなの?」
「それは・・・」
悪いことではないけれど、やっぱり私は女子達の目線がこわい。
桃木ちゃんも同じ目にあってほしくない。
「大丈夫。
岸田君とは2年も一緒にいる幼馴染。
絶対に守ってくれるって」
桃木ちゃんはなぜか笑顔だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます