心流変遷

1583年、織田信長は、山々が醒めゆく季節に、領内各地の将軍たちを招き、新年の宴を開催しました。ところが、その宴席には、竹中半兵衛の姿は見受けられませんでした。豊臣秀吉は、半兵衛の為に設けられた空席に杯を捧げ、黒田官兵衛とともに涙を湛え、蜂須賀小六や前野長康たちと共に、半兵衛の生きざまを偲びました。


秀吉が、掠れた声で言った。「半兵衛がここにいないのは寂しい。あの男、もう二度と姿を見せることはないのだろうか。」

官兵衛は、うなずきながら、目に涙を滲ませて言った。「そう、もう彼と顔を合わせることは叶わないのですね…」

涙を交えて、秀吉と官兵衛は互いに半兵衛への思慕を語り合いました。


その一方で、明智光秀の姿もまた宴席にはなかった。光秀は四国の地で長曽我部と対峙していたため、新年の祝いの場には参じることが叶わなかったのでした。


その中で、新参の真田昌幸、真田幸村、真田信之の親子は、静かに座していました。幸村は、半兵衛の伝説を耳にしており、心の奥底で彼に対する敬意を感じていました。それゆえに、秀吉たちに声をかけ、半兵衛が如何なる人物であったかを尋ね、その答えに満足感を覚えました。


幸村は、一礼して言った。「半兵衛殿のこと、詳しく伺えて光栄でございます。彼はまさに優れた武将だったのですね。私も、そのような武勇を身につけたいと心から思います。」

秀吉は、ほほえみながら答えた。「お前もまた、立派な武将になれるだろう。努力せよ。」


祝宴が幕を閉じると、信長は真田親子を呼び寄せるよう命じました。


信長は、神経質な一面を秘めていたため、真田親子は何かを咎められるのではないかと内心、警戒感を抱いていました。それでも、蘭丸が彼らを待つよう告げ、やがて信長が姿を現わし、高座に落ち着きました。


信長が、深みのある声で言った。「面をあげい。」


真田親子は顔を上げました。幸村にとっては、初めて信長を間近で見る機会でした。君主という存在が、このような威厳と魅力を備えていることに、心底驚かされました。自分が生まれ育った武田信玄公を直に見ることは叶わなかったが、もし彼と対面したならば、どのような感慨に包まれるのか、幸村は心の中で想像を巡らせました。


信長が、瞳を細めて言った。「お前たちの奮闘ぶり、見事であった」

昌幸は、微笑みながら答えた。「ありがたきお言葉」

信長が、目を細めて聞いた。「その息子の名は何というのか?」

昌幸は、一礼して答えた。「真田源二郎信繁と申します。」

信長が、うなずいて言った。「ふむ、信繁か。信玄公の弟と同じ名だな。今後は幸村と名乗るがよい。」


そう言って、信長は幸村に名刀・村正を授けました。リアル空間での真田幸村という名前は後世の創作ですが、この仮想空間では信長から与えられた名前でした。


幸村はその喜びを隠すことができませんでした。信長から直々に名前と名刀を授けられたことは、彼にとって大いなる光栄であり、同時に己の成長への期待も胸に秘めました。


幸村は初めて、武田家を滅ぼした織田家に協力することに対して、内心で抵抗感を秘めていました。しかしながら、信長との交わされる言葉の中で、彼の心情はゆっくりと変容を遂げていったのでした。


- 夢想瑞歌 -

絶え間なき 川の流れに身を任せ

変わる景色を 眺めてぞゆく

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