もう一人の麒麟児
織田信長の武将、羽柴秀吉は毛利の城塞を包囲する一方、見せかけの僅かな勢力でその真意を掩い、大軍は既に九州連合の行動を見越し、隠密に移動していました。
竹中半兵衛の流言に、九州連合は疑念を抱き、領地への護りに兵力を割かざるを得ない状況となりました。出征中にそれぞれの動きが交錯することを見越し、織田軍は強襲の布石を置いていました。
九州連合が中国地方へ移動を開始した瞬間、織田軍は猛烈な奇襲攻撃を仕掛けます。九州連合の軍は数に劣っていましたが、すぐに反応し、織田軍は今まで味わったことのない反撃の圧力を受けます。特に、島津義久、高橋紹運、鍋島直茂の軍勢は大きな力を示しました。
「奇襲は成功したはずだが、なんという強さだ…!」黒田官兵衛は驚きの色を見せつつ、半兵衛は冷静に、"想定内だ"と述べます。すると、背後から新たな勢力が現れました。
「くっ…敵か?それとも毛利が気づいて背後から来たのか?」秀吉の問いに、半兵衛は悠然と、"ご安心を。私が主君の許可を得て手配した者たちです"と答えます。
それは敵ではなく、現れたのは山中鹿之介幸盛という武将でした。彼は、リアル空間では1578年に世を去っていましたが、この仮想空間Xパラレルワールドでは未だに息吹を保っていました。尼子家再興を志す武将として、今回は織田軍の一員として登場したのです。
仮想空間の信長は、半兵衛によって事変を回避したことを知るよしもないが、大きな信頼を置いているようです。また、半兵衛と鹿之介は、どちらも麒麟児と呼ばれた男ですが、仮想空間では、それなりの繋がりがあったかもしれません。
鹿之介は堂々と語りかけます。「竹中殿、羽柴殿、到着が遅くなりました。私が島津軍を引きつけますので、羽柴殿は他の部隊に対処してください!」
秀吉は感謝の言葉を述べ、「感謝する、鹿之介殿!」と声を上げます。半兵衛は静かに頷き、鹿之介も敬意を示しました。
九州連合の中心である島津軍は、その戦士たち一人ひとりが優れた技量を持ち、戦場では獅子奮迅の活躍していました。
山中鹿之介軍は勢いをもって島津義久軍に突撃しました。鹿之介自らが先陣を切り、部下たちもその勇猛さに火をつけられ、島津軍に対する猛攻を開始しました。
「我が軍よ、進め!島津義久を打ち破るのだ!」山中鹿之介の激励の声は高らかに響き渡りました。その響きに導かれ、彼らは鋒矢の陣を組み、自らの指揮官である鹿之介のもと敵陣に突撃しました。
しかし、島津義久軍も確固たる防御陣を組み、一切の動揺を見せることなく山中鹿之介軍の猛攻を防ぎました。
島津義弘は言い放ちます。「山中鹿之介め!勇気は認めるが、我が島津軍が敗れると思うな!」
その周囲では、部下たちも熱戦を繰り広げていました。鹿之介軍は軽快な動きで島津軍をかき回そうとしましたが、島津軍は固定陣形と組織的な連携で対抗しました。
戦場は熱気と緊張感で揺れ、激戦の中でも会話が交錯しました。
「島津よ、まだ追い詰められてはいないようだな!」山中鹿之介は勇ましく叫びます。
「甘い!我が島津軍はここで折れることはあり得ない!」島津の反論が鋭く飛び交います。
その言葉が空中で交錯する中、両軍の戦闘は激化していきます。鹿之介軍は動きの速さと個々の腕前を活かし、島津軍は組織力と強固な陣形で反撃します。
山中鹿之介が加わることで、相手との膠着状態が一時的に生まれ、その結果、数で優位である織田軍が一気に攻勢に出ることが可能となり、九州連合は敗走を余儀なくされました。
そして、背後から迫る毛利軍に対して、織田軍は迅速に兵力を反転・強襲することで、毛利軍を各個撃破することに成功しました。その統率の見事さは語り草となり、用兵家としての竹中半兵衛もその中で重要な役割を果たしました。そして、この戦いの中で半兵衛の生命の灯火は静かに消え去ったと言われています。
竹中半兵衛は、最後は陣中で最期を迎えることを望み、自らその願いを叶えたと伝えられています。戦場の真っただ中、彼の生命の灯火は静かに、そして堂々と、消え去ったのでした。
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