2022年11月6日、実家にて

両親の身体の不調を機に、実家に戻り家業を継ぐことになった。

引越しも終わり、近隣への挨拶も済ませた。

その日は、雪が止んで久しぶりの陽光が溢れる日だった。

昼下がりの13時過ぎ頃、来客があった。

近隣で1番の生き字引、御歳97歳の彼女がうちを訪れたのは、伝えておくことがあるからだという。

「えれく立派なわけぇもんになったな。おらはおめがまだかかあのはらのなかんおるとっからしっとお。」

「わけぇもんが帰ってきて家継ぐということは、まことええこった。村もわかげぇるしな。それに、おめみてなまごうずだら?そりゃねに選ばれたんだとも。いんや、ええこったええこった。しろさきよめれな。まごいれなんぞ何年ぶりかねぇ。ええこったええこった。」

強い訛りと聞きなれない単語がいくつかあり、半分も内容を理解出来なかったが、相手の耳が遠い事もあり、苦笑いと相槌でやり過ごしてしまった。


シロ守の⬛︎⬛︎たみ(97)の認知症の症状が確認されたのはそれから2日後のことである。

前兆もなく、突然の事であったという。

詳しい症状は伏されている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る