覚書

@10ita1

2023年6月30日、ランニングコース上にて

雨が降っているので、走るのに適した温度だ。

2時間のコースの折り返し地点に定めたあの公園は、山に隔てられた小さな集落の中にある。

朱色の欄干がかかった橋を渡り、緩くカーブした坂道を登ってゆくと、簡易トイレと用具倉庫、グラウンド、2つの藤棚の下にそれぞれベンチとテーブルがあり、その奥に集落を一望できる作りになっている。

公園の入口の脇には獣道が続いており、半ば朽ちた木製の看板が傾いて刺さっていて、"⬛︎⬛︎地につき、立ち入り禁止!"という文字が辛うじて読み取れる。(⬛︎⬛︎の部分は看板表面が剥落しており腐った木が露出している。)


期待を裏切ってしまったら御容赦被下度。

これは、「ランニングの途中に興味本位でこの獣道を進んだところ、恐ろししししい体験をした。」というような類の、よくある恐怖体験談では無い。


かつて、⬛︎⬛︎の中には"禁足"の2文字が書かれていた。

かつて、この獣道の奥で起きた事を知る者はもう誰もいない。

かつて、奏上された祝詞はどの文献にも残っていない。

かつて、まごうずとし、かまえたやしろうちすてしものども。

皆様のお越ししししを

獣道ののの先でお待ちちしておりますすすすすす

忌返奉 禍降奉

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