第21話 0021 第四話02 何氏の最期
また、
哀れにも少帝は四月に即位し、九月に廃されたこととなる。
董卓に立てられるは今年九歳になる霊帝の真ん中の子、陳留王劉協、字を
改元し初平とする。
董卓は
そこで蔡邕を招いたのだが、蔡邕は拒否する。怒った董卓は使いをやり、
「来なければ、一族皆殺しです」
とストレートに脅し、恐れた蔡邕は参内する他無かった。
董卓は大変喜び、一月にその官を三度換えて侍中とし、甚だしく親厚した。
さて、少帝と何太后、唐氏は永安宮で衣服飲食もままならずに日に日に欠乏していき、少帝の涙が乾く事は無かった。
ある日、庭で二羽の燕が飛ぶのを偶然見かけて一首の詩を詠んだ。
嫩草綠凝煙,裊裊雙飛燕。
洛水一條青,陌上人稱羨。
遠望碧雲深,是吾舊宮殿。
何人仗忠義,洩我心中怨!
言葉の意味はよくわからんが、とにかく凄い恨み節が伝わってくる。
董卓は常に密偵で探っており、この日も詩を得て董卓に差し出された。
「恨みでこの詩を詠みましたね。これは正当な理由で、殺します」
董卓に命じられた李儒は十数人の兵士を引き連れ永安宮へと押し入る。
帝達は楼上に居り、李儒が来たとの宮女の報に帝は驚く。
毒酒を勧める李儒に帝が理由を尋ねる。
「今日は素晴らしい小春日和ゲヒ!董相国が特別に寿酒を振舞われました!おめでとう!ゲヒっ!ゲヒっ!ゲヒヒヒ!」
太后が言う。
「じゅっ寿酒だと言うならば貴様が先に飲んでみよっ!」
「…ふむ。飲まない、と。ならば…こちらが宜しいですかな?」
李儒は左右に命じ短刀を差し出す。
「私が飲みます…ど…どうかお二人の、お命だけは…!」
跪いて請う唐氏に李儒が告げる。
「お前如きが王の代わりになるとでも…?」
李儒は盃を取り何太后に叫ぶ。
「さあ…まず貴様が飲むのだっ…!!」
何太后は賊を引き入れ今の禍を齎した何進の浅はかさを罵倒し、追い詰められた帝は李儒に懇願する。
「どうか母との別れを告げさせて下さい…」
天地易兮日月翻,棄萬乘兮退守藩。
為臣逼兮命不久,大勢去兮空淚潸!
唐氏もまた、作歌する。
皇天將崩兮后土頹,身為帝姬兮恨不隨。
生死異路兮從此別,奈何煢速兮心中悲!
吟じ終わり、二人は互い抱き合い慟哭する。
「…董相国は回報を待ち望んでおられる。抵抗した所で、お前達を救う者が誰がいよう」
「国賊董卓っ!天は我らを
太后の言葉に激怒した李儒はその両手で太后を掴んで楼から投げ落とし、兵士に唐妃を絞め殺すよう命じ、そして、帝に毒酒を飲ませ、殺した。
事の報告を受けた董卓は城外に葬るよう命じる。
この夜より董卓は毎晩宮殿に入っては宮女と指相撲をして、龍床で寝るようになった。
その後、董卓は軍を率いて陽城地方に行った。時は二月、社賽の時である。
集まった男女を兵士で囲んで皆殺した。
女性の財飾を略奪し、荷車に積み込み、千余りの首をその下に吊るした。
続々と都に還って賊を討ち大勝したと喧伝し、城門の下でその首を焼いた後、略奪品を兵士に分け与えた。まじイカレてる。
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用語解説
※初平(しょへい)
献帝最初の元号。西暦190~193年。私が天下を安らかにしましたよ!
という意味合いなのだろうが、これが後漢末三国時代の群雄乱世の始
まりとなった。
※賛拝不名(さんぱいふめい)
天子に謁見する際、姓名を呼ばれず官職だけで呼ばれる特権。
※入朝不趨(じゅうちょうふすう)
参内・謁見時に身を屈めちょこちょこと小走りしなくてよい特権。時
代にもよるが宮殿では皇帝以外、皆ちょこ走りしなくてはならない。
なお読みが一般的に定着してない語句は漢音で表記する。
※剣履上殿(けんりじょうでん)
帯剣し、靴を履いたままの参内が許される特権。
これらは功の有る臣下に皇帝から与えられる特権である。
※侍中(じじゅう)
皇帝の側近であり、皇帝の質問に答えるため側に侍る役職。後に荀彧
や司馬懿が就いたと言えばその求められる実力の程がわかる。
※言葉の意味はよくわからんが
繰り返すが作者の語学力では暗喩・文学的表現全開の漢詩の正確な訳
は難しい。ごめん。屁のツッパリはいらんですよ。漢詩以外も適当じゃ
ねえか!と言われそうだが他は一応九割五分理解した上で崩している。
俺偉い。まあ五分は間違ってるんですけどね。ごめん。
※宮女と指相撲
この小説はわかり易さ、取っ付き易さを目指し、つまりは小中学生が
読む事を想定して書いてます。素人がまともにやってプロに適う訳が
ない…という事でこんな方向性にしてます。
※龍床(りゅうしょう)
皇帝のベッド。龍(特に五本指)は皇帝の標章。
※社賽(しゃさい)
豊穣を祝う小規模な村祭り。
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