第20話 くり……すま……? 知らない子ですね。
普段から色々と、まるでジャポネス国の料理、沸騰した雑煮に直接投入し、煮込み過ぎ蕩け切った米粉の餅のようにべたべたしてるじゃないですか。
年甲斐もなく赤いおべべを羽織った異国の髭面爺が徘徊する無法な夜にまで、装備:無、状態:興奮のノンストップバトルを不夜城内で繰り出さなくても。この国の人間は全員ベルセルクか、混乱の状態異常をかけられたのですか?
抑々特定の日にだけ戦うのなら、んな年末の忙しい時じゃなく一週ほど待って、年明けの公共施設も交通機関も休みな日に猿の如く地震魔法を唱えまくって下さいよ。
後栗酢鱒ケーキ? 世には様々な味覚もありますし好きな人は否定しませんが、栗と酢で〆られた鱒をケーキの具材にするのは……。
まぁポテトチップスのチョコ掛けとか美味しいですし、アイスクリームの天麩羅なんぞもあるみたいですし、私の食わず嫌いなだけかもですね。
でも無理にケーキじゃなくても、ジャポネス国風の食事の方がいいのでは? 栗酢鱒押寿司とかなら大多数の人が食べられる感じがしますでしょう?
プレゼント交換? プレゼントとは贈り物ですよね? それこそ何故この年末の忙しい時に?
帽子に可愛らしい黒猫の柄が描かれた緑の制服着た中年男性が、家族の元に帰れず死んだ目をしながら重い荷物を運ぶ姿を想像してくださいよ。浮かれるのが申し訳なくなるでしょう?
ただでさえ雪国は道が埋まりガタガタの中、日が変わるまで荷物を積んだ鉄の牛車を操り働く姿……想像しただけで目頭が熱くなりますよね?
……おや女神さま、また周りに誰もいませんね……全く勇者である私を差し置いて自由過ぎますね皆さん。
あら、「女神の涙」ですか? 私は状態異常にはかかっていませんよ? いいから受け取れ? はあ、ではありがたく。
え? これから女神さまの元へ召還? 一緒に本日は過ごせと? いえいえ私には世界を救う使命が……え? 魔王軍も今日は休み? 確かに各地の敵不夜城前に魔物どもが大挙して押しかけていましたわね……。
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