第15話 「勝負あり!」

 ……貴族の集まる学園のパーティ、その場で第一王子に婚約破棄された公爵令嬢、納得いかぬなら果し合いで勝負を付けろと言われ……王子と取り巻きの5人と戦うは公爵令嬢の代理として立候補した一人の男子生徒……


 「ってこれまた、見事に負けましたわね……」


 「まー奴らの最後の花道だよ。しかし最初に5人一度にかかってこいと煽ったからって、立場のある者達が俺の様な一般生徒相手に本当容赦ないな。第一王子、騎士団長の息子、宰相の息子、学園のアイドル(男子)、そして勇者見習いの5人総掛かりで死ぬ寸前まで傷めつけやがって……目を潰され右手落とされてるじゃねーか」

 

 「あの女もこんな弱い者いじめみたいな闘いを見て、格好良いですわーとかお疲れ様でしたとか、あの権力者に媚びを売る醜い本性を隠す努力をしたらどうなのかしら?」

 

 「その辺はすまんな、元同郷だった者として謝罪する。しかし周りも倒れた「俺」を少しでも気にかけろや……駆け寄ってるのは「君」と君の友人くらいか? こんな事になっても君に付き従ってるとはいい友人を持ったな」

 

 「ありがとうございます♪ 謂れなき断罪を受けた私にずっと信じてると言ってくれた自慢の友人ですわ♪ この「茶番」に事前に何も言えずに付き合わせてしまったのは申し訳なかったですが……」


 「まあ彼女の方は「ターゲット」から外しているので安心しろ。まぁそろそろ、奴らの狂宴にも飽きてきた、終わらせていいか?」


 「ええ、腐っても公爵令嬢であるわたくしの突然の婚約破棄、追放劇が起こった後にあんな豚の様な歓声を上げるド腐れ貴族や屑教師・生徒という名のカス共に同情の余地はありませんわ。王子やあの女共々、宜しくお願いします」


 「いい覚悟だ。君の友人も身代わり人形を残してテレポートさせたから下手な疑いはかけられない。後はこの「メガンテ」と書かれたボタンを押してくれ、それで終わる……くくっ、そんなに連続で押さなくていいぞ、余程溜まっていたのだな……」


 ……


 異変を感じ取った護衛兵士が王宮のパーティ会場の扉を開けると、朦朦と立ち込める煙の間から見えるは一面の血と臓物と糞尿に塗れた地獄だった。

 その場にいた王侯貴族とその息女達、教師に至るまで男女の区別処か元が人間だったのかも判らぬほどの挽肉の塊になっていた。

 でも何故か第一王子とその取り巻き4人、彼らを篭絡したと噂のあった男爵令嬢の「首」は兵士達が近付くまでは頭の形をしていて……まるで確実に始末しましたと見せつけるが如く彼らの前でそれらは爆発四散した。

 それと同時期に各地で革命の火の手が上がり、事前にほとんどの貴族が死ぬと「知らされていた」周りの列強が一気に侵攻……栄華を誇った王国はわずか数日で歴史から消え去った。


 同時期、とある国に現れた豪華な屋敷……そこでは主人と、まるで亡国の公爵令嬢が如く美しい妻、その友人であるメイドが何時までも幸せに暮らしましたとさ。

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