第10話 「よくぞ試練を打ち破った!」

 「約束通り貴様には最強の武器を渡そう!」


 ……


 「……何だ? これは?」

 「最強の武器だ」

 「いや、だから何だよこれ?」

 「……見て判らんか?」

 「判る訳ないだろ、何だよこれ、何で武器から毛が生えてるんだよ!」

 「装飾として羽根飾りが付いている装備は珍しくもないだろう?」

 「しかも何か生暖かいし」

 「凍える様な場所、氷系魔法を使う敵と戦う事もある。その時に金属の持ち手だと凍傷に陥る事もあるだろう。防寒機能の付いた装備の何と有り難い事か」

 「つか目玉が付いているのだが、しかも4つも」

 「盲目の状態異常を使ってくる敵もいる。そんな時装備に目玉が付いていればいいと思った事はないかね?」

 「口もついてて、呻き声をあげてるのだが……しかも何かさっきからくっちゃくっちゃ喰ってるし」

 「食事を与えさえすれば万全の力を発揮する。ちなみに好物はワイルドボアの生き胆だ」

 「というか、手足が付いていて、さっきから俺の仲間が襲われているのだが」

 「自動で攻撃をする機能も付けておいた。これで貴様達が戦闘不能になっても大丈夫だろう」

 「というか先ほどから俺の首筋に噛みついてきて、頸動脈が千切れて出血が止まらないのだが……後触手みたいなものが俺のみみがらばいっでぎてのうみぞをいぢれれれがれレれ」

 「使用者の脳味噌を支配して自在に動かす機能、名付けて「自動人形(オートマタ)」だ。かっこういいだろろろろおろろろろおでののうみぞにもばいっでぎでががが」


 ……


 「魔王様、お疲れさまでした。武器に化けて勇者達を倒す作戦大成功ですね♪」

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