最高の一枚

 そういえば、先の『…見せてくれ』くん(以降Aくん)は、いま思えば『鍵っ子』で、夕方まで外で一緒に遊んだ後、ちょっと彼の家に寄ったりすると、いつも薄暗くって誰もいなかった。


 で、そのAくんのご両親は、おそらく共働き。それゆえか、お留守番の代価に(?)お小遣いをたくさん貰ってたみたいで、よくゲーセンなんかで奢ってくれたけど…


 また、それ以前の話。私の小学校の同級生だったBくんの家は、おそらく母子家庭。しかも彼の家に遊びに行った際、部屋にほとんど家具が無かった事に、子供ながら驚いた覚えがある。


 失礼な言い方だけど、やはり経済的に豊かではなかったのだろう。


 でも、その時にBくんのお母さんが焼いてくれたホットケーキは、間違いなく今でも、我が人生最高のものである。


 ガスを止められていた(?)のか、とにかく『電熱線』の上にフライパンを乗せ乗せ焼き上げられたそれは、まるで市販のどら焼きのように、つるんっとキレイな表面をしていて、その見た目通りにフワフワな食感といい、適度な甘さといい、まるで売り物になるくらい素晴らしいホットケーキだった。


 ちなみに、その時はBくんの妹さんも一緒にいて、それが焼き上がるのを、お母さんの横で心待ちにしている様には、微笑ましい親子愛を感じたっけ。

 

 かたや、お金はあっても、所謂ぼっち・・・。かたや、お金はなくとも(?)愛情一杯…どちらがいいとか、とやかく言うつもりはないけど、こうして大人になって考えてみると、なんとも複雑な思いがしてくるね。

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