第4話

 自分のいた世界では自分を含め七人いた。他の世界があるのかは知らないがこの世界では七人だった。それぞれ七人が支え合って下界、つまりは人間界を統治していた。

 でも、その日は突然現れた。二百年は続いていたであろう平和な日々が幕を閉じたのだ。七人は神とも呼ばれ超越者とも呼ばれるいわゆる七神だった。自分もそこにいて草木を司っていて、他の神に貢献していた。でも一神が裏切った。裏切ったというのか分からないが七神の内の一人、鍛治を司る神が封印されたのだ。神は殺されない、それは常識だが封印はされるようだった。一神が封印されたと同時にもう一神が消えた。その時、自分を含めた五神はその一神が裏切ったと考えた。二百年以上も共にしていた一神が裏切ったのだから誰も信じたくはなかった。でも神が一神ずつ封印されるごとにいまだに姿を現さないその一神への疑いが強くなっていった。神といっても神という種族ではない。自分を含めた六神が天使族で今回消えた神が魔族だった。なによりも神が封印され、それを助けに行き、助けに行ったものが封印されるという悪循環ができてしまっていたことがまずかった。ニ神以上で行っても封印されたこともまずかった。最終的に自分、つまりは草神ともう一神の水神だけになってしまった。鍛治の神が封印された時はすぐ封印を解けるだろうど思っていた。でも一神一神封印されるごとに恐怖を覚え始めていた。でもそれと違って高揚感もあった。なぜこんな気持ちがあったのかは分からない。その時の自分はまるで戦いに飢えていたようだった。

 最後は訪れた。今まで消えていた魔族の一神が自分たちの前に姿を現したのだ。話し合う余地もなく攻撃を仕掛けてきた。正直に言おう。あっさり負けてしまった。ニ対一なのにすぐ自分と水神は自身の神の血、イコルにまみれてしまった。負けか、その時思った。でも朦朧とする頭にある考えがよぎった。このまま封印されるくらいなら…やってやる。

 その瞬間大地が轟いた。自分が得意とする魔法を発動したのだ。でもそれは攻撃魔法でもなく防御魔法でもなかった。時空系魔法、創造魔法、転移魔法、そして自分が開発した魂抽出魔法を組み合わせた確率混合魔法「輪廻転生」だった。半径二十メートル程度の魔法陣だったが目を凝らしてもよく見えないほど繊細に、複雑に造られていた。そうでもしなきゃ成功しないし、こんなに細かく作ったって成功確率は驚くほど低い。水神は意識を失ってたけど自分は意識がはっきりさせたまま発動した。自分の魂が自分の肉体から離れていくのは不快だった。ちなみにその魔法の発動範囲内に魔族の神も入っていたのでそいつも輪廻転生が成功したかは知らない。

結果は少なくとも自分は成功した。ほんとに疲れた。

 転生した僕は神って言っても肉体は創造魔法で造ったものだからかなり力が弱まっている。それでもいいか、と思った。スノーライフをやりたいと思っていたところだ。そう考えてた時大陸最高峰のロベルト学園の入試を一週間後にやると聞いた。でもいざ入試の申し込みをしようとすると身分のない僕はすぐに追い払われた。身分があればいいというので適当に身分を作ろうと思ったが、それじゃ目に留まらないかもしれないということで魔法界序列二位の座を奪ってきた。魔法界序列とは魔法を使える人において強さ順に一位から十位まで並んでいる。ほぼ姿を見せていないらしいので探知魔法で見つけた。なんとも簡単なことだろうか(※普通の人はできません)。でもそれで見つかったのは二位以下のみだった。一位はいくら探しても見つからなかったので魔法界序列に載っている人に勝つとその座を奪い取れるということで戦って勝った。流石に普通に勝ってはつまらないので最下級魔法水球ウォーターボールのみで戦った。こうして身分を手に入れた僕はロベルト学園に入学したのだ。

 さぁ遅くなったね、自己紹介をしよう。僕のこちらの世界での名はフォール。草神である。

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