第45話 これが俺達の〝技〟だ!
たとえ精鋭部隊でも突っ込めば大被害はまぬがれない。
だったら俺が一人で対処すればいい。
それがもっとも効率的で、安全で安心だ。
『カナタ、
『ああ。あの部屋の魔物をすべて蹴散らすぞ、コン!』
『おっけー!』
だから今、俺は一歩を踏み出す。
ゆっくりと意識を集中させながら、肩に乗ったコンの額をそっと撫でつつ。
「一人なんて無茶よ! 死ぬつもりなの!?」
「んふふー、違うんだなー。彼方ならできちゃんだなーこれが!」
「えっ?」
「ステ値は見たっしょ? その上で彼方っちはさぁ、その実力を限界を越えて発揮できるんだよねぇ~」
「それぁどういうこっちゃ!?」
「フフフ、私達も聞いただけで詳しくは知らないわ」
「知らないンかぁーいっ!」
つくし達は落ち着いて俺を見守ってくれているようだ。
あらかじめ俺達の能力を説明しておいてよかった。
おかげで余計な気をつかわずに披露できそうだよ。
「その名も〝絆ライディング〟! 彼方とコンちゃんが二人でじゃないと使えないスゴ技なのだー!」
「な、なんやそのけったいな名前の技は!?」
「っつうかダンジョンに技なんてあったのかよ!? スキルじゃなくてか!?」
「まぁ大人しく見てなってぇ、驚かさせてくれるだろぉからさぁ!」
「私達も含めてね……!」
肩を通してコンのマナが俺と繋がっていく。
いつやってもこの感覚はいい。心が重なっていくのがわかるから。
まるで一心同体となっていく――それが心地良くてならなくて。
「いけない、そんな前に出過ぎたら矢が来るわ! ああっ!?」
「――んなっ!? 矢が弾かれたやとぉ!?」
「あれはコンちゃんのバリアだねー。あの子、特性でバリア展開ができるんだー」
「ま、同等以上だとあまり役に立たないらしいから普段はあまり使わないって言ってたねぇ~」
「で、でもまったく通る気配が無い……それってもしかして」
「雑兵とはいえあのレッドオークを三下扱いかいな……!」
オークどもが抵抗してきているが無駄だ。
お前達の実力じゃコンのバリアは突破できない。
よし、人質の女子の所まで辿り着けたぞ。
でも少し待っていてくれ、あとですぐに回復してあげるから。
とりあえず今は繋げられたツタ縄を引き千切っておこう。
そしてついでに板壁を部屋の奥へと蹴り飛ばしておく。
『やるぞ、コン!〝アームドライド〟……!』
『わかった!』
俺達の心はもう繋がっている。
発揮するための力の形はもう見えた!
あとは形成されたこの力で、奴らを殲滅するだけだ!
「なんだ!? あの肩の獣が光って!?」
「コンちゃんの姿が変わっていくよ!」
「それだけやない! 大きくなって彼方の腕に移動しとる! なんやあれは!?」
「ま、まさかあの形って……!?」
それを可能とするのがアームドライド。
コンを俺自身の武器として変身させ、二人のマナを解き放つ切り札。
この力で俺達は、軒下魔宮でも数々の困難を乗り越えてきたんだ!
「あ、あれって……ガトリング砲やないの!!??」
「ガトリングゥ!? 銃火器やとおおおーーーーーー!!!??」
「そ、そうよ間違い無いわあの六連回転式砲塔はバルカンという製品名でも有名で機種によっては分速千発の銃弾を発射できる上に対地対空どちらにも応用可能だから戦闘機などにも装備されており白兵戦などでは爆発兵器を使うよりもずっと有用とさえされている兵器の中の兵器ミリオタのユッメ!!!!!」
「あかーん! 先に凜のミリオタ魂に火が点いたーっ!」
……力説ありがとうな凜さん。
そうさ、その通り。
コイツは俺の想像力を糧にコンの体で形成した、いわば魔法式ガトリング砲。
その名も、【コン式・
俺達が持つ切り札の一つだ!
そいつを今、解き放つ!
「こうなったらもう止まらないからなあッ!! 理不尽が、まかり通るッ!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます