六条飾のストーカーは万死に値する

第31話 六条飾のストーカーについて その1

 女子高生とは、魅力的な生き物である。


 二次性徴を終えて、女性としての身体を得たばかり。そのエロさと未熟さは、男をさそい、まどわし、そして、とりこにする。


 生物である以上、メスに対して発情するのはもはや仕方がない。その上で、性的対象になり得る最年少の女子高生は、男の獲物になりやすい。


 恋をするのならば、ご勝手に。


 女子高生も女子高生で、発情しやすいお年頃である。健全なアプローチをして、恋心をお互いに確認し合って、しょっちゅうちゅんちゅんにゃんにゃんしている。


 しかしながら、すべての男が、恋愛を成就じょうじゅさせられるわけでもない。


 思いを告げられず、悶々もんもんとして、ただ遠くからみつめているだけの男共がどれだけいるか。


 そういうむっつりな男の中には、もいる。


 後をつけたり、盗撮したり、何かを盗んだり、といった犯罪行為。それらを愛と勘違いしてしまう。


 そういうクズ男は、ほろんだ方がいいし、全員、牢屋ろうやに一生ぶち込んでおいてほしいが、残念ながら、ゴキブリ同様、その辺りに野放しにされているのが、今の日本の現状だ。


 特に、美人には寄ってくる。


 そういうクズ男は、美形で、気立てがいい女、例えば六条飾のような美人に群がってきてしまう。街灯に虫がたかってくるのと同じように。


 さて、既に話は見えているだろうが、にごさず、しっかり、はっきりと述べよう。



 どうやら、六条飾りくじょうかざりにストーカーがいるらしい。



 あぁ、言いたいことはわかる。


 この僕がついていながら、ストーカーなんて下劣な行為を許すなんて、何をやっているのだというのだろう。


 そこについては、面目ないと言っておこう。


 ただ、僕も忙しかったのだ。


 何があったって、そりゃ、あれだよ。



 恋敵失踪事件。



 字面通りの事件であって、僕はこの事件の処理に奔走ほんそうしていたのだった。立花律子たちばなりつこという淫乱女いんらんおんな祐太郎ゆうたろうからどうやって遠ざけるのか。さらにいえば、六条が立花を殺害するのをいかに止めるかをひたすら考えていた。


 この事件が、恋敵の生き埋めに発展しなかったのは、ひとえに僕の功績と言えるだろう。いや、結局、生き埋めはしたんだけど。


 かの生き埋めをて、立花は祐太郎から手を引いたわけだが、それでも、六条が手を引いたかはわからない。


 そのため、しばらく立花の周辺をチェックしていたのだ。ゆえに、六条を見守る時間が削られていた。


 結果的に、ストーカーなどという不埒ふらちやからの出現を許してしまった。


 まったくもって遺憾である。


 なんて、政治家みたいなことを言ってみたけれども、遺憾砲を撃って何もしない政治家とは違って、僕はちゃんと処理する。


 卑劣なストーカー野郎を、処分する。


 それは、六条を愛する者として、当然の責務であり、絶対の正義である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る