第397話 グラジオラス 🌺
近所に真っ赤なグラジオラスを数本、勢いよく空に昇らせているお宅があります。舐めたように手入れが行き届いている庭には、草や無駄な枝一本も見当たりません。きっちりと刈りこまれた植栽類は警察学校で教え込まれた生徒並みの正しいポーズで敬礼しているみたいで、用事で訪問すると、思わず威儀を正したくなったりします。
それはいいのですが、困るのは自分の感覚こそ正しいと信じて疑わない主の存在。ミニマリストのヨウコさんですが、こと庭に関しては少し乱れのある趣を好みます。光源氏さんの烏帽子がちらと見えそうな(笑)野趣ゆたかな庭が好きですが、それが目障りで仕方がないらしいのです、なにしろ定年退職後の暇を持て余しているので。
たとえば、初夏から美しい七変化を見せてくれた紫陽花を、秋になっても刈らずにおくのは、かさかさに乾ききった枯紫陽花の風雅を楽しむためですが、うっかりすると、剪定ばさみ持参で駆けつけんばかりのいきおい。こういうお節介を当たり障りなく交わすにはどうしたらいいか、悩んでいるひとがほかにも何人かいるみたいです。
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