第507話 面おこし 🦝



 ある本で「おもておこし」という古語を知りました。出来のいい息子やむすめは両親にとって面おこしの子どもであり、その反対は「面伏せ」という身もふたもない(笑)表現。口さがない世間さまに堂々と顔をあげられるか、それとも気弱く伏せるのかの差異だそうで、自分はまちがいなく前者の子だわと、胸の滴を凍らせるヨウコさん。


 一所懸命に育ててくれたのに期待に添えずにごめんね、とうさんかあさん。心から詫びたくてもいまさらどうしようもなく、しかも、もしも人生をやり直す機会が与えられたとしても、きっとまた同じ軌跡をなぞるにちがいないことが明々白々な申し訳なさも。この身の不徳を思えばひたすら面を伏せるしかない不肖のむすめです。:->


 その関連で申せば、話し言葉でも文章でも「☆◇をしてしまった」という表現をなるべく使わないようにしているのは、必然と呼ぶのが過ぎるならば偶然の連鎖の結果を全否定するような投げやりなニュアンスにいささかの違和感があるからで。感情を入れこむのではなく、淡々と事実のみを描写する表現が性に合っているみたいです。




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※昼からの好天に誘われて散歩に行くと、田んぼの真ん中の電柱のてっぺんに一羽の鷹が止まって遠くを眺めています。なんだか親しみを感じて、真下に行ってみると、先方もこちらを認めてくれたもようで。振り返りながら二百メートルぐらい歩いて、さいごに振り返ってみると、豆粒ほどの鷹さん、まだこちらを見ていてくれました。




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