第294話 川沿いの道の感懐 🚙
車の定期検診のため、半年に一度、決まって二往復するのが大河川沿いの道です。つい先日までの寒さがうそのように、一気に気温が上がるいまの季節は、桜、花桃、山桜桃梅、連翹、木蓮などの木の花が色とりどりに咲いていて絵本を広げたみたい。
もう少し時期が進めば、繫殖力の抜群に強いニセアカシアがふっさりと葡萄状に垂れた白い花房から甘い香りを放ち、ときには、何用あってか大河川から小河川へと、危険な道路をえっちらおっちら横断するカルガモの一家があらわれたりもします。
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東の山並みも西の山並みもぐっと後退して水色の空に溶け入り、ビル街にも住宅地にも広い盆地にまばゆい陽光があふれ、それはもう美しいのなんのって、ハンドルを握りながら思わず見惚れますが、その目とつながる心は、なぜかしんとしています。
それは朝に晩に何十年も行き来した通勤路であるからかも知れませんし、呼吸発作を起こした犬を助手席に乗せて動物病院に運び、棺に入れて連れ帰った悲しみの道であるからかも知れませんが、冬のさびしさとは質の異なるさびしさなのです。💧
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