第256話 バンクシーの赤い風船 🎈
米国の“まさトラ”により移民の流入を阻止する目的で建築されたメキシコ国境の壁が再びクローズアップされているとき、イスラエルがヨルダン川西岸地区に築いた悪名高い分離壁の前にホテルを建設して観光客を呼びこみ、生活に困窮するパレスチナ人を支援する国際的アーティスト・バンクシーさんのドキュメントを拝観しました。
人類がその手で築いた灰色の壁といえばベルリンのそれが思い浮かび、異分子排除のスタンスを高々長々と披歴して恥じない存在に暗澹たる思いを誘われますが、それはとりもなおさず自分自身を含むエゴイズムの象徴だからであり、眼前にそびえ立つ壁よりじつはもっと厄介な心の壁の存在を示唆しつづけているからでありましょう。
不条理な社会への抵抗として描いたはずの絵が、皮肉にも一部の金儲け族の投機の対象にされている事実に抗議する『赤い風船と少女』のスレッダー事件、侵攻ロシア軍に破壊されたウクライナの街角に忽然とあらわれた、大男の柔道家を小さな少年が投げ飛ばす諷刺壁画に拍手を贈りながらも、自分自身の内なる壁を見つめ直します。
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