第231話 かあさん、ごめんなさい 🌱
母とは反りが合わなかった。テストでいい点を取って帰っても「ふん(これも思いこみかも(^^;)上には上がいるよ」と突き放されたし、妹ばかり可愛がり長女のわたしには冷たかったし、あんなにいやだったピアノレッスンを高三まで強制されたし、そのほか有象無象のいやな記憶がぞろぞろ引き出されて来る、百鬼夜行みたいに。
ずっとそう思って来たヨウコさんですが、いまごろになって、ちょっと待ってと。エラソウニ母親を批判しているあんた自身ナンボのもんなのよ?! いい歳していまだに未熟人間で、ひとさまにご披露できるものひとつ持ち合わせていないじゃないの。むしろ捩花っ子の天邪鬼に言い訳しなかった母のほうがずっと上かもよ、品格……。
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そういえばかあさん、自分のことはほとんど話さなかったよね、少女時代のことや戦争に翻弄された青春のこと、母だって生まれたときから大人だったわけじゃなくて(笑)多感な思春期には恋のひとつやふたつ経験したにちがいないのに、なぜそれを語ろうとしなかったんだろう、聴く気がないむすめたちを見限っていたのだろうか。
天寿を全うしてから何年も経ったいまさらではあるんだけど、作文好きな母に似てせっかく文筆を趣味としているんだから、杉田久女、川島芳子、平林たい子、それにスタンバイ中のいずれも個性的な近代女性の軌跡シリーズの番外編に、平凡な市井の半生をコラム的に加えてもいいかもね。そう思って贖罪の短編を書きあげたもよう。
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