第196話 紙飛行機&援護射撃 ⛹️♂️
冒頭の「人はそれぞれみな、いろんなやりきれない気持ちを抱えて生きている」のフレーズで観客の気持ちをわしづかみにする映画『阪急電車』(有川浩さん原作)に倣えば「人はそれぞれみな、思い出したくない屈辱を抱えて生きている」ということになろうか。ヨウコさんがそんなことを考えたのは、阿久悠さんの自伝的小説『無名時代』(このタイトル!!(笑)有名人ならではですよね~)を拝読したときでした。
小さな広告代理店の新人企画部員として、同期の営業部員と一緒にスポンサー企業に売りこみに行ったとき「信じがたいほど傲慢で、理不尽で、そのくせ下品で、もの欲しげで、幼稚」そして「猫がネズミをいたぶるように時間をかけ、気持ちを弄び、傷つけて、喜ぶ」先方の宣伝課長に、どうか仕事がもらえますようにと祈りをこめた大切な絵コンテを、あろうことか紙飛行機に折られてビルの窓から飛ばされた……。
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すでに何度か書かせていただいたように、二度の土下座を含め、この手の経験譚に事欠かないヨウコさんが、この日、屈辱の小部屋から取り出したのは、行政の首長をトップとする審議会でした。「どうぞ忌憚なく」という市長(医師)の言を真に受け(笑)税金の使い道の不公平を糺したら、いきなり机をどんと叩いての罵声で……。数十人の部課長が列席する会場はし~ん。ヨウコさんは真っ赤になって俯きました。
十人ほどの理事で女性は三人でしたが、男性理事を含める全員から援護射撃なし。のち女性の副市長から「なにも言えなくてごめんなさいね」と電話がありましたが、あとはだれからもNOレスポンスで、即刻、辞任届を提出したヨウコさんをよそに、その後も雛段の雛人形(ただ座っているだけ)で居つづけたと風の噂に聞きました。
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名誉職に甘んじてよしとする人たちと心が通い合うことはないだろうと思っていましたが、リタイア後に交流の復活を請うて来たのは先方で、あのときああだったじゃないのと断るのも大人げないと思って受け入れて来たのですが、くだんの女性理事のひとりがカフェの自慢話の当人だったわけでして……なにやってんの、ヨウコさん。
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