第167話 一枚の枯葉から 🍂
朝霜が溶けた舗道をずんずん歩いていたヨウコさん、いた~っ!! 足指のグーパー運動&インソールで改善しかけてはいるものの決して完治はしていないモートン病のこと、すっかり忘れていました。これだからわたしという人間は……しょんぼりしてしずしず歩いて行くと、公園の森から運ばれた枯葉が一枚カサコソ転がっています。
あら、まだいてくれたんだ~、遅い季節までがんばってくれてありがとうね。^_^そういえば、むかし、よくうたったよね~「♪ 枯葉散る夕暮れは 来る日の……」大好きだった五輪真弓さん、いまも東南アジアを中心に不動の人気を誇っているそうだけど、日本のテレビではめったにお目にかかれず、じっくり拝聴してみたいな~。
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そういえば、いま読んでいる小説(というよりも、ものすごい饒舌な評論集につき興味を抱きつづけて読み進めるには相当な努力を求められます(笑))に歴史教科書で有名な社会主義活動家が登場し、思想犯として収監されている独房で、この絶好の機会に何か国語もマスターしようと、せっせと勉学に励む場面が描かれていました。
衣食住を国家にゆだねながら出獄後に備えて勉強するという、なんともちゃっかりタイプの(笑)活動家が、獄舎の窓からついと舞いこんで来た一枚の枯葉を手にして自然の息吹きになみだするという……専門書を取り寄せての猛勉強よりたった一枚の枯葉に生きる意欲を掻き立てられたという人間らしいエピソードが心に残りました。
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そんなことをつらつら考えながら歩いて行くと、ニューバランスの幅広スニーカーの内で左足の指の付け根がふたたびシグナルを鳴らし始めました。『恋人よ』の哀切なメロディに合わせてそぞろ歩くこともままならないの? 仕事時代のツケの大きさにたじろぎながら、ま、いっか~、歩けないわけじゃなし、明るく思い直しました。
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