第160話 教室の気配を背中に感じながら 🌼
起きたら午前五時半でした。日照時間の減少に体内時計が律義な反応を示してくれ(笑)夏場と同時刻にベッドに入ってもすぐに目覚めてしまい、興味のないテレビをつけてみたり、あまりの退屈に我慢がならずカクヨムさんにアクセスしてみたりして冷えきった身体を布団に丸め、うとうとしながら朝を迎える日常には珍しい現象で。
そういえば冬至まであと十日ほど。その日をさかいにして夜長から短夜へと変っていくんですよね~。実際にはこれからが冬本番ですけど、その一方で、年が明ければ冬日ざしに少しずつ力が籠って来ますし、俳句では二月から春ですし、早い地域では梅が咲き始めるでしょう……小さな希望の種を集めて手のひらであたためています。
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こつこつと地味に歳を重ねている証しでしょうか、近ごろ、物事のとらえ方が少しずつ変って来たような気がしています。たとえばポイント。以前は溜めておいてそのうちに使うというスタンスでしたが、昨今は少し溜ると「ポイントでお願いします」カードや免許の更新も「つぎは三年後か……この水の星の住人なのかな~、わたし」
かといって、それがさびしいとか、いつ現れるか分からないゴールが怖いとかいう気持ちはなくて、教室の窓際のヒヤシンスを観察する生きもの係のような感じ。お、今朝も緑が元気だね~、春になったらパープルの蕾をつけてね~。騒ぎまわる男子や群れ好きな女子たちの気配を背中で感じながら、ひとりの世界を楽しんでいる……。
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いまのところ健康のつもりだけど、自分も生きものである以上、いつなんどき生死のバランスが崩れても不思議はなく、そのときも冷静でいられるか分からないけど、このシチメンドクサイ浮き世からの脱却を許されるのはありがたい。そう、みんなの迷惑にならないように緊張していた大縄跳びからポンとはじき出されるように……。
敢えて星の年齢を引き合いに出さなくても、長くて百年、似たか寄ったかの人間の一生は宇宙から見れば一介の塵にも相当しないのでしょうけど、その刹那的な時間を楽しむことも許されず、多かれ少なかれ煩悶との対峙を強いられる。その事実にどんな意味があるのかないのか、すぐれた哲学者に教えて欲しい、いまさらだけど……。
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