第123話 ファイト!& JUMP &永ちゃん 🎸
一風変わったヘンな親せきのオバサン扱いがさびしくて、でも、文芸に関心がない人たちにカクヨムさんを無理に読ませるわけにもいかず(笑)諦めかけていたとき、過去作品をご高覧くださっている方からドンピシャリのコメントをいただきました。
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ずいぶんむかしのような気がしますが、去年のクリスマスに満を持して書いたことを思い出しました。キャッチに「『カクヨムWeb小説短編賞2022』中間選考突破」晴れがましく謳ってあるところを見ると、その気満々だったみたいで。(〃艸〃)ムフッ
あれからいろいろなことを経験して身のほどを知りました。まあそれはともかく、そうですそうです、これこそがヨウコさんの原点でありました。人として生きる王道なるものがもしあるとしたら、なんの因果かこういう道を歩めと示された者にそんなことを云々する余裕がありましょうや。逆に負の環境こそ創作の源泉でもあり……。
いずれにしても、これを忘れなければガサツな言の葉も右から左へ聞き逃せそう。で、例によってプロフィールのコレクションのトップ四に移動させるとともに、当欄にも再掲載させていただき、心の迷路をさまよわないお守りとさせていただきます。
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ファイト!& JUMP &永ちゃん 🎸
初の真冬日の一日、歯科医から帰って録画しておいた歌番組を観ていた橙子さん。
あまりのクオリティの高さに途中から目が離せなくなってしまいました。💦
全国二万人の応募者から選ばれたとあって、全員がプロ級、というよりプロ以上。
大勢の審査員も芯から唸ったり泣いたり「切なさが伝わる」「人の心を打つ」と。
分けても橙子さんが盛大な拍手を贈ったのは素朴な弾き語りの若い女性で、選曲も中島みゆきさん『ファイト!』忌野清志郎 さん『JUMP』と現在の世相にぴったり。
祈りが通じたのか(笑)「武道館で歌えるよ」最大級の賛辞を受けて優勝した彼女の「辛いことも多かったけど、生きていてよかった」の挨拶がまた最高で……。💧
やっぱり歌の力は偉大だよね~、コロナがひどかったころ、よくもまあ日本社会は音楽なしでまわって来たよね、ある意味、食べ物と同じぐらい大切なのに、芸術は。
🖊️
で、教訓くさいのは苦手と言いながらも、どうしても書いておきたいんですって。
文芸も同じだよね、創作の作法とか技術云々より、なんてったって
🌌🎫🎟️🎤👕⌛⌚🌃
つぎの早朝、橙子さんは、吹きすさぶ木枯らしを聞きながら、前夜の録画『NHK MUSIC SPECIAL 矢沢永吉 ~激白! 超えられなかったあと1本~』を観ました。
歌手デビュー五十周年の記念としてつい数日前に予定していた日本武道館百五十回ライブを喉の不調のために直前で取りやめた、いわゆるドタキャン(笑)について。
NHKでも急きょ決まった生放送ゆえ「今年一番の大仕事なので緊張する」と高瀬アナが告白して同僚に「高瀬さんでも緊張するの?」と笑われていた、話題の番組。
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永ちゃん、お久しぶり!! 相変わらずビンビンに鍛えていらっしてうれしいな。
胸の内で話しかけるのは、かつて橙子さんだけの永ちゃんとの旅路を歩んだから。
三十分番組の半ばで矢沢永吉の半生の節目みたいなテロップが出たとき、永ちゃんの目に光るものが浮かんだのを見逃さなかった橙子さんだが、自身も相当にウルッ。
――友人に騙され、三十五億円の負債を負う。(ノД`)・゜・。
そうか、あれは四十八歳の出来事で、それから六年間かかって完済したんだよね。
数字のひとつひとつがきわめて重要なのは、橙子さんの日々とも重なるから……。
同じころ橙子さんも、自身でつくったのではない巨額の負債を追うことになった。
永ちゃんの額よりひと桁下だが、一般市民にとって四億円は途方もない悪魔の翳。
途方に暮れているとき事情を承知している取引先の人が日経新聞を見せてくれた。
ものすごい記事だ!! 日経の全面をつかった何頁もが、矢沢永吉尽くしだった。
自分でつくったわけではなくても多くの人に迷惑をかけたから、興行で完済する。
その潔さに胸を射貫かれ、勝手に熱いファンになって、ファンクラブに入会した。
ほら吹き(笑)永ちゃんはその宣言どおりわずか六年で完済するのだが、その間、橙子さんはファンクラブの会員でありつづけ、ライブのたび優先席で声援していた。
📰
ちょうどその頃だった「業界全体を取り上げる」と地元紙記者に騙され、驚天動地のプライベート記事を書かれたのは……男どもが寄って集ってよくもひとりの女を。
この一件に関しては、いまも敢えて口汚い言葉を選ばずにいられない。(=゚ω゚)ノ
朝礼で「迷惑をかけてごめん」と詫びたら、女性事務員さんがわっと泣き出した。
男性陣は「こんな理不尽許せない。新聞社に抗議しましょう」と言ってくれたが、まあまあと宥めたのは、水蜜桃に刃を入れたような傷を深めたくなかったからだ。
のちに同郷の後輩が「橙子さん、うちの社を恨んでるんですって?」と過去の記事のデータベースを調べてくれたが「暴露に当たる記事は見つからなかったですよ」。
打たれ過ぎて相当に辛抱強くなっていた橙子さんには珍しく「書く側に、書かれる側の痛みは分からない」間髪を入れず言い返せたこと、いま思ってもスカッとする。
💐
喉を休めたら、来年こそ記念すべき百五十回目をと意気ごむ永ちゃんは「若いころのおれの声ってよくないよね、軽いよね、いろいろあってこその現在だよね」とも。
そうだよ永ちゃん、おかげさまで負債を完済し静かな日々を送っているわたしも、自分でいうのもアレだけど(笑)あのころよりずっとイイ女になっているはず。😅
もう少し元気を快復したら、武道館でもどこへでも出かけて行くから、どうか身体を大切にして「七十代? うそでしょ」みたいなキレッキレのステージを見せてね。
(公開日 2022年12月24日 13:18)
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