第118話 忍城の甲斐姫さま 👘
なんだ、このちっぽけな城は!(*'ω'*)
城っていうより砦じゃねえの?( ;∀;)
こんなところを、本気で水攻めしたのかよ、石田治部少輔三成さんは……。
だな~。いくら御大将の秀吉の命とはいえ、ふるわなかったろうな、士気。
ということは、意外と大したことねえよなあ、
伝説の上書きで、だんだん誇大に語られるようになって来たんじゃねえの?
🏯
女子高の制服がメッチャ似合うレイナは、無遠慮な観光客をキッと振り向いた。
行き交う男子生徒の憧れの的、JKのツインテールが華麗にひるがえり威嚇する。
ちょっと、あんたら、うちらの愛する行田をナメテもらっちゃ困るんだよね~。
見かけはたしかに小ぶりさ(笑)、けど、山椒は小粒でもぴりりと辛いんだよ。
その気配に恐れをなしたのか、細い腰のふたりのチャラ男は慌てて足を速める。
お堀の水面にはおだやか冬日ざし、城郭を囲む塀に山茶花が静かに咲いている。
🌺
ただいま~と玄関を開けるが、おかえり~の声が返って来ないのはいつものこと。
かつて足袋の産地として知られた町も、時代の推移で様変わりを余儀なくされた。
足袋職人だったレイナの家も、自宅の横の工房で、いまは学生服をつくっている。
家内産業ゆえ主婦も重要な働き手で、レイナの帰宅時に母が家にいたことはない。
仏壇の前に座って、おじいちゃんおばあちゃんに手を合わせたレイナは、母が用意してくれたおやつを食べながら先刻の一件を反復し、再び不愉快な気持ちになった。
🥋
戦国のむかし
そのとき、武蔵の諸城主とともに小田原城に召集されたお殿さまに代わって勇敢に指揮をとったのが甲斐姫さまで、いまの自分と同年代だったなんて尊敬しちゃう!!
しかも、戦後、美貌&武勇を買われ秀吉の側室に収まると巧みに猿の心をとらえ、ご尊父・成田氏長さまのご助命、ご実家・成田家の復興と延命を果たしたのだから。
まさに勇猛で知られる坂東武者に引けを取らない武蔵女子の鑑、憧れちゃうわ~。
頭脳明晰にして薙刀の技は超一流、臣下や侍女に慕われた甲斐姫さまこそわが命。
そう思い直したレイナは気持ちを切り替えて、ツインテールをポニテに結い直す。
白上衣に紺袴をつけて庭へ出ると、丹田を締め、彼方の的に向かって弓を構える。
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