第98話 イスタのこと 🐕
ある詩人さんの作品を拝読して、何十年も忘れていた犬のことを思い出しました。
一年だけpuppy walkerをしていたとき預かったシェパードの仔犬で、名をイスタ。
上の子が小学校へあがったばかり、下の子はようやく保育園に慣れて来たころで、例によって独断専行の元夫が同居人にはなんの相談もなく連れて来たのですが、いまから思えば洗脳されていたのでしょうか(笑)いっさい逆らわなかった妻は大慌てでリードやペットフードなどを取りそろえ、その日から仔犬の母親にもなったのです。
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飲み仲間にいい顔をしたくてという不純な動機で盲導犬候補生の預かり親を買って出た夫が面倒な世話をするはずもなく、家事&育児&仕事でてんてこ舞いだった妻の日常はいっそうきびしいものになったことは言うまでもありませんが、当の本犬はというとそれはそれは愛らしい赤ちゃん犬で、目に入れても痛くない子だったのです。
むすめたちの犬好きもこのとき培われたのでしょう、姉妹そろって弟のように可愛がり、どちらかの子がいつもべったりイスタに寄り添っていました。賢くてやさしいシェパードの本領を早くも発揮し始めたイスタは、自然に家族の中心になりました。
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約束の一年が経ち、車に乗せて首都圏の盲導犬協会に連れて行くときのむすめたちのさびしがりようは……〆切仕事がますます多くなっていたわたしは、率直なところ責任を果たせてほっとしていた部分もあったのですが、職員さんに連れられて仲間のところに走って行くイスタのすがた、いつまでもまぶたに残りました。(´;ω;`)
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あの子が盲導犬になれたかどうかを確認することは憚られたので、その後のことは分かりませんが、こうして思い出してみるとイスタにあやまりたくなることばかりが脳裡をよぎります。いつも忙しくしていてごめんね、丸めた新聞紙で脅してごめんね(元夫の飲み仲間からの指導で💦)、標準より大きくしてごめんねなどなど。(;_:)
ちなみに、今回あらためて用語をたしかめてみますと、パピー・ウオーカーは「将来盲導犬となる一歳未満の仔犬を一般家庭で飼育するボランティア。基本的なしつけを行い、人間との暮らしに慣れさせることが目的」とあって、いちいち納得でした。
また、並んで掲載されているパピー・ミル(Puppy mill)は「仔犬工場の意。工場で品物を大量生産するように大規模な繁殖を行う業者。利益を最優先にし劣悪な環境で愛玩動物を大量に繁殖させる悪質なブリーダーを指す」とあり、怒怒泣泣でした。
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