第38話 家族 🍈



 歳時記の五回目の読み直しで、直近は同じ例句に心惹かれることに気づきました。

 これまた熟読の入門書の「鑑賞力は作句力に比例する」を大いに実感しています。


 初心者(いまよりも)のころは、竹を割ったような単純な句がいいと感じました。

 少しずつ分かって来ると徐々に好みが変化して来て、現在は含蓄のある句が好み。


 実力に応じた鑑賞が当然とされるので、自分の成長過程を愉しむような気持ちで。

 ビギナーの域を抜け出せるころ(いつになりますか(笑))の変化が楽しみです。




       🍐




 親せきが集うお盆の時節柄、さまざまなかたちの家族を詠んだ秀句を四つばかり。

 これまた当然ですが、自分の心すら定かでないのに、家族だからといって、ねえ。



 ――梨を剥く家族に昔ありにけり      出口善子

   実ざくろや妻とは別の昔あり      池内友次郎

   白粉花吾子は淋しい子かも知れず    波多野爽波

   みな大き袋を負へり雁渡る       西東三鬼


 

 三句目、波多野爽波さんの句では「鳥の巣に鳥が入つてゆくところ」「冬空や猫塀づたひどこへもゆける」もいいですが、今回は秋の季語にしぼってみました。🐦🐈


 四句目、西東三鬼さんは歯科医のかたわら新興俳句運動の騎手のひとりだった俳人ですが、自分も家族も、それぞれ重荷を負うのが人生と詠まれたように拝察します。




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