第5話 出だしの魔法 🧹





 毎日一編アップに慣れ過ぎて、肝心の書き出しを疎かにしていたんだね、自分。

 はっと気づかされたのは、角田光代さんのエッセイの一節に触れたときでした。



 ――そのとき私は十七歳で、憎しみに近く家をきらっていた。((((oノ´3`)ノ



「いよ~っ、ザ・カキダシ!!」と喝采を贈りたくなるような、キレ&小気味のよさ。

『だれかのことを強く思ってみたかった』書名も、すこぶる、いい。(。・ω・。)ノ♡




      🌼




 家に帰りたくないばかりに、近くの公園で勉強や読書や食事をし、そこで出会った(ただし一度も話したことはない)猫好きの中年男性のことを「強く思って」みる。


 というのも、家族はもちろん恋人、友人など「強く思う」相手がいなかったからという素気なさだが、馥郁たる香気を放つ文芸作品ならではの☆が燦然と輝いている。


 ややもすれば私小説的な露悪に奔りがちな通俗の対極に位置する文章芸術の凄みを愉しくカクニンし、書き出しとは裏腹に極めて後味のいい読後感に浸りました。😊




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