第6話

10年前の話


ファントスは、旅をしていた。

人族は嫌いだったが、人族が食べている物は好きだった。


魔神族特有の角を隠す為にコートを深く被る。

旅をしながら奴隷にされている仲間を解放していた。


そんなある日、突然、誰かの声が頭に響いたのだった。


〈2日後に死の森に行きなさい〉


「!!誰だ!」


周りを見ても誰も居なかった。


「まさか!!神のお告げか……?」


本当に魔神族は、神様の眷属だったのだろうか?

死の森に一体なにがあるんだろうか。


「よし。死の森に行ってみよう!」







死の森


「死の森……油断したら死んじまうぞ。お告げがあるのなら、やらなければ!」


お告げ通り、2日がたった。


「クソ!ファンティングベアが3頭だと!」


ファンティングベアは、『死を呼ぶ悪魔』と言われている。


「なんとか、逃げきることが出来たがもう、体力の限界だ……」


薄れる意識のなか、声が聞こえた。


「あんた、大丈夫か?」


「人族?」


「俺は、ジーク。あんたは、魔神族だよな?こんな所にいたら危ないから離れるぞ!」


「だが、俺はファンティングベアにやられてボロボロだ。お前、一人で行け!」


「回復魔法をかけたから動けるだろ?」


「えっ?そういえば、全然痛くない…。何で、人族が魔神族の俺なんかを助ける!?」


「?助けるのに人族とか魔神族が関係あるのか?」


「………」


変わった人族もいるものだな。

だけど、お告げに従って死の森に居なければいけない。


「まだ、あんたの名前を聞いてないから教えてくれるか?」


「あぁ。俺は、ファントスだ。」


「よろしくな!ファントス!」


ジークといると、不思議と人族だということを忘れてしまいそうになる。


ジークと一緒にいたいと思うほどに。


「ジークは、冒険者なのか?」


「うん。今日は、ファンティングベアの毛皮と爪を持ってくる依頼なんだよ。」


「ジークは、強いんだな!もし、よかったら……俺も……連れていってくれないか。」


「おう!もちろん!俺とお前は今日から友達だな!」


「「よろしくな!」」


神のお告げに反してるかも知れないが、ジークと共にいないといけないような気がする。

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