第10話

戯れに 髪に刺したる 擬宝珠の

まだかたき蕾 涼し気な蒼


ちょっとふざけて、簪のように擬宝珠の蕾を髪にさしてみる。貴方はもう覚えていないだろう。あの時、擬宝珠の花の話をしてくれたこと。

今、自分の所では、ようやく蕾が青みを帯びてきた所なので、一月ほど季節が遅れて巡っているのだろうか。

夏が近づき、失った深い悲しみも、ようやく優しい想い出に変わってきた様だ。



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