17. 特別な関係
17. 特別な関係
そして翌朝。オレが目覚めると横には高宮さんが気持ち良さそうに寝ていた。
一応確認するが服は着ているし、ゴミ箱は空だ。大丈夫ヤってはいないようだ。オレの理性警察は優秀だったようだな。昨日は結局あのあと一緒に寝てしまった。
オレは無意識に唇を触る。キスをしたのは記憶にあるし、まだ感触が残っている。なんだろう……少し罪悪感がある。
良く考えるとオレと高宮さんは付き合っていないし、ヤってこそいないけどキスしたり一緒に寝たりしている。今どきの高校生はこうなのか疑問だけど、やはりこのままじゃいけないと思う。オレが高宮さんを見ながらそんなことを考えていると高宮さんが起きる。
「おはよう神坂君」
「ああ」
「早起きだね。私の寝顔が見たかったのかな」
「かもしれないな」
「将来毎日見れるよ」
「なるほどオレのほうが早起きなのね。もしかしてオレって将来尻に敷かれてるのか」
「今もだよ」
「否定はしない」
そして支度をしてリビングに降りると怜奈がソワソワしていた。なんかムカつくんだが?
「おおおおはよう!おにぃ!聖菜さん!」
「うるさいぞ」
「おはよう怜奈ちゃん」
「おにぃ!今日はお赤飯がいいかな!?」
「初潮を迎えた女子かよオレは!何もなかったから。そもそもオレと高宮さんはそういう関係じゃないし」
「うわぁ……本当にヘタレだ」
「え?何もなかったかなぁ?」
「高宮さん。遅刻するぞ行こう」
オレは高宮さんの腕を強引に掴んでそのまま家を出る。朝から面倒なことに巻き込まれるのはゴメンだからな。そのまま歩いて駅に向かうことにする。
「うーん……少し身体が痛いかな」
そう言ってオレの横で歩きながら伸びをする高宮さん。……ボディラインがはっきり分かるのでやめてほしい。強調されると困るんだけどさ。朝から刺激が強いんだけど。
「ん?触る?」
「公然わいせつ罪とかで捕まりませんかそれは?」
「触りたいのは否定しないんだね」
「解釈は高宮さんに任せるよ」
そして駅につき電車に乗る。高宮さんはスマホを取り出しいじり始める。オレはやはり朝のことが気になって、少しでもその罪悪感を拭いたい気持ちでいっぱいだった。
「スマホをいじってるとこゴメン」
「ん?なにかな?」
「……高宮さんって将来オレになんて呼ばれてるの?」
「ママ」
「……だよね。じゃあオレはパパだよな」
「そうだね」
不思議そうな顔でこちらを見る高宮さん。しくじったがあとには引けない。少しでもオレは高宮さんとの関係を……。オレは意を決して呼ぶことにする。
「……聖菜さん」
「え?」
「ってオレが呼んだりしたらどう思う!?」
「名前で呼びたいのかな?」
「いやそのオレと高宮さんは……ほら運命的な何かだろ?特別な関係っていうかさ!」
「なら私も優斗君って呼ぶね」
「おっおう!」
「……顔真っ赤だよ優斗君?」
「……それは聖菜さんもだろ?」
「うん。だってすごく嬉しいから」
高宮さん……いや聖菜さんはいつもと同じ優しく可愛い微笑みをオレに向ける。その顔を見て少しだけ聖菜さんとの関係が深まったような気がした。それと同時にほんの少しだけ罪悪感も拭えた気がした。
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