11. 理性警察はベテランで優秀
11. 理性警察はベテランで優秀
翌日になり、オレはいつも通り教室に入る。しかし今日はいつもとは違うことがある。それは高宮さんを家に誘うという難題を課せられたことだ。昨日は勢いで言ってしまったが、よく考えてみるとオレから高宮さんに何かをしたことがない。
「おはよう神坂君。」
すると後ろから声をかけられたので振り返ると、そこには高宮さんがいた。
「おはよう高宮さん。今日もいい天気だな」
「そう?曇ってるけど」
「曇りはもう晴れみたいなもんだろ」
「曇りは曇りかな」
なに意味分からないこと話してんだオレは。でもいきなり本題とかオレには荷が重すぎるし。結局、高宮さんを誘うことが出来なかった。
そして昼休み。リベンジの時。オレはチャイムと同時に高宮さんに話しかける。
「あの高宮さん」
「なにかな?」
「ちょっといいかな?少し話があってさ」
「告白?」
「いや違うけど……とにかく来てくれ」
オレは半ば強引に高宮さんの腕を掴んで歩きだす。そしてしばらく校内を歩いて、誰もいない社会準備室に入る。なんか教室を出るときに周りからの視線があった気もするが仕方ない。
「ここでいいか」
「……誰も来ないところまで連れてきて、もしかして思春期特有の欲求が爆発してシたくなっちゃったの?」
「違う」
「なーんだ。つまんない」
なーんだ。つまんないじゃないだろ。オレは高宮さんの彼氏でもなんでもないんだから。そんなことを思いながらも、とりあえず昨日の事を話して用件を伝えた。
「というわけなんだが……」
「つまり神坂君の家でヤるってことだね。さすがに私も初めてはベッドがいいかな」
「ヤることから一旦離れようか」
「じゃあその時の展開しだいだね」
「安心してくれ。オレの理性警察はベテランで優秀だから」
「えぇ?新人ばかりじゃない神坂君の理性警察は?」
高宮さんはいつものようにクスクスと笑う。本当に可愛い。……というか高宮さんのほうが欲求不満なのでは?美少女でエロいとかご褒美でしかないんだが。そんな煩悩を振り払いオレは再度お願いしてみる。
「それでどうかな高宮さん?」
「ほほう。つまりお兄ちゃんのプライドとやらで神坂君は窮地に立たされていると。そしてそれをこの美少女の私に助けてほしいというわけだね?」
なんかしゃべり方がウザいが可愛いので我慢する。
「どうしようかな~?」
「迷惑なのは分かるんだけどお願いできないかな?」
「……私は今無性に映画が観たいのです。今度のお休みに」
「え?……今週末デートしよう!仕切り直しの初デート!ほら。今度はオレが奢るからさ!」
「しょうがないなぁ。まったく。プライドだけでは生きていけないのだよ神坂君」
「おっしゃる通りです」
「ふふ。いいよ。私も神坂君の部屋とか興味あるしね?それに中学生の怜奈ちゃんにも会ってみたいし」
おお!やったぞ。とりあえずこれでミッションコンプリートだな!
「ありがとう高宮さん。助かるよ。……あれ?オレ妹の名前教えたっけ?」
「怜奈ちゃんでしょ?私の義妹だもん名前も顔も知ってるよ。もちろん大人の怜奈ちゃんだけどさ」
「調べたの?」
「『タイムリープ』だってば」
……いまいちそこはピンと来ない。確かに『タイムリープ』で未来から来た高宮さんならオレの妹を知っていてもおかしくはないのか。でも調べれば分かることでもあるしな……。
「高宮さんはこれから起こることがなんでも分かるのか?」
「なんでもじゃないね。ふと思い出す感じに近いかな……記憶の断片みたいな感じ?」
そう言いながら高宮さんは窓の外を見る。まぁそんなことは今はどうでもいい。とにかくオレの家に高宮さんが来る。それだけだ。こうしてオレは高宮さんを家に招くことに成功した。
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