2. 気になっちゃった?

2. 気になっちゃった?




 翌日になり、いつも通り登校する。ちなみに昨日は高宮さんの事を考えてしまい少し寝不足だ。すると後ろから可愛い声がオレのことを呼ぶ。


「おっはよう!神坂君!」


 振り返るとそこには笑顔の高宮さんがいた。


「……おはようございます。」


 思わず敬語になってしまう。昨日の今日なので少し意識してしまう。すると高宮さんは少し不満そうな表情をする。


「敬語はやめてよ~。せっかく仲良くなったのに~」


「……その記憶なら高宮さん、また『タイムリープ』してるんじゃない?」


「でもこうやって話してるよ?」


「話したら仲良くなるわけじゃないからさ」


「え~神坂君は屁理屈だなぁ」


「屁理屈は高宮さんでしょ」


 というやり取りをしていると教室に着き、席に着く。昨日家に帰って冷静に考えたけど、高宮さんの言ってることはどう考えてもおかしい。『タイムリープ』なんて非科学的なことを信じるのは難しい。


 きっと新手の詐欺だ。オレがそんなことを考えていると、ふと視線を感じた。見てみると、隣の高宮さんがこちらを見ていた。目が合うとニコッと微笑む。


 ……可愛いな。


 そんなことを考えると同時に、彼女の笑顔を見た瞬間、心臓が大きく跳ね上がるのを感じる。オレの顔は赤くなっていないだろうか?熱くなっているのがわかる。今まで恋愛経験がないオレには荷が重すぎる。こっち見ないでくれ


 ……恥ずかしくて死にそうだ。


 結局、授業中ずっと彼女からの熱い眼差しを受け続けた。休み時間は友達と話したりしていたが、その間も彼女はオレのことをじっと見つめていた。


 そして2日目の放課後。オレは校門の前で呼び止められる。


「あっ来た。神坂君。駅まで一緒に帰ろう」


「ごめん。オレは今、約束の場所に集まって強大な敵と戦ってるんだ。だから1人で帰ってくれないか?」


「そんなわけないじゃん。神坂君はぼっちだし。ほら帰ろう」


 そう言って高宮さんはオレの腕を掴み歩き出す。


「ちょっ!ちょっと待て!」


 オレは必死に抵抗し、手を振りほどく。さすがに周りの目とか気にして欲しい。というより……手の温もりやら高宮さんの匂いやら……色々とヤバいのだ。


「何?照れてるの?」


「うるさいな」


「あはは。やっぱり神坂君は面白いね」


「別に面白くはないと思うぞ?」


「ううん。面白いよ。」


「……あっそ。」


 そう言ってオレは少し顔を俯きながら歩き出す。恥ずかしすぎて顔が熱い。


「ねぇ神坂君!私一緒に帰りたいの。ダメ?」


「……腕を掴まないならいいぞ」


「ありがとう!」


 そう言うと高宮さんは、今度は腕は掴まないがオレの隣を歩き始める。……ううっ近い。やっぱりめちゃくちゃ良い香りするし、距離感とか……とにかくドキドキする。


「神坂君。朝なんで私のこと見てたの?もしかして気になっちゃった?」


「そうだな。色々な意味でな」


「どんな意味?」


「意味というか……まぁ気になるんだよ」


「へぇー。私のことが気になって仕方ないって感じだね?」


 高宮さんはクスクスと笑う。オレはその言葉にドキッとする。


「いやそういう訳じゃなくてだな……そう言う高宮さんもオレのこと見てたよな?監視してるの?」


「私は浮気とか許さないタイプだから」


「浮気って……探偵かよ?」


「時空探偵だね」


「いや……見られるのは恥ずかしいんだけど?」


「私も恥ずかしかったよ?」


「……オレのこと気になった?」


「うん。もちろん」


 高宮さんは上目遣いでオレを見てくる。その姿にオレはまたまたドキッとして動揺してしまう。くそっ。もしかしたらこれが高宮さんのやり方なのか?


「もちろんって……」


「そりゃそうでしょ。神坂君は私の未来の旦那様なんだからさ」


「またそれですか」


「ふふ。それですな」


 そんなこんなで話しているうちに駅に着いた。


「それじゃあな。高宮さん。」


「はい!また明日ね!」


 本当に高宮さんは『タイムリープ』をしてきたのだろうか。でも1つだけ分かることがある。高宮さんはオレに好意があるということ。


 そんな高宮さんの後ろ姿を見送った後、オレは電車に乗り、いつも通り家へと帰る。本当に監視をしているのか、これが高宮さんのやり方かは分からないけど、どっちにしても悪い気はしなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る