第15話 目玉焼き

 自分の子供が人殺しになるのが夢だったのと母は大変に嬉しそうな顔で言った。それはぼくの誕生日を祝うよりも嬉しそうな嬉しそうな顔だった。

 言われるがままに人を殺してきたぼくだが、そろそろ母を殺そうと決めた。今までは母の言う通り、殺し、その処理は全て母がやってきたのだ。カレー、シチュー、グラタン、目玉焼き、親子丼。

 母のももを切って、フォークで刺し、塩をもみこんで柔らかくする。それから焼いて食った。腕も同じようにした。

 人間の顔や耳が一番、食べづらい。他の部分はまだ、豚や蛙を食うのに似ているから、困らないが、顔は困る。

 はじめて自分で作った目玉焼きは、そんなに美味しくなかった。

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