人肉食主義者との対談

ユダカソ

人肉食主義者との対談

人肉食主義星家を築くカニバリ星人ーーー彼らは蟹のような見た目をしていたーーーに対し、特別に話し合いの場を設けることに成功した私たち。


彼らはなぜ人肉を食べるのか。

その謎に迫るーーー


カニバリ星人代表:カニデワ・ナイデスさん

「よろしくお願いします。」


司会:チートたけし

「この度はこの番組によく来てくださいました。カニデワ・ナイデスさんは、えー、人肉を食べる文化の星から来てくれたということですが、まずはね、率直に、なぜ、人肉を食べるのでしょうか。」


カニデワ・ナイデス

「はい。え…人肉とはつまり人間の肉ですが、こう言うと人間のみなさんは驚かれると思うんですけどね。」


チートたけし

「はい。まあ、やはりこわいですよね。人間としては。」


カニデワ・ナイデス

「人間と言っても、やはり動物ですから。皆さんが猿などを食べるのと同じでーーー」


チートたけし

「すみません、少しいいですか。」


カニデワ・ナイデス

「はい。」


チートたけし

「猿は食べません。」


カニデワ・ナイデス

「えっ?食べない?」


笑いが漏れる会場ーーー


チートたけし

「はい。まあ国や地域によっては食べるかもしれませんが、人間は滅多に猿食べません。」


カニデワ・ナイデス

「猿食べないんですか?」


チートたけし

「はい。なので例えるなら猿以外でお願いします。」


カニデワ・ナイデス

「そうですか。でも……ね、何か食べるでしょう。動物。ペンギンとか。」


チートたけし

「ペンギンも食べません。」


カニデワ・ナイデス

「じゃあ何食べるんですか?」


会場に再び笑いがーーー


チートたけし

「人間はですね、主に牛とか、魚とか。あとは野菜、まあ植物ですね。食べます。」


カニデワ・ナイデス

「ああ、やはり肉は食べるんですね。それならそれと同じですよ。あなた達が牛?や魚なんかを食べるのと同様に私たちが人間を食べているだけで、こわいということはありません。」


チートたけし

「しかし人間から見ると天敵ということになるわけですから、いつ襲われるかと思うと………」


カニデワ・ナイデス

「でも正直、こちらも反撃されたらと思うとこわいですから。私たちも人間を恐れています。特に大人の人間は。」


会場から「へえー」という声が漏れるーーー


チートたけし

「人間襲うのに人間がこわいんですか。」


カニデワ・ナイデス

「そりゃあ本気でかからないと死ぬ可能性もありますから。とてもこわいです。それに私たちは大人は狙わないんです。狙うのは主に子どもです。」


悲鳴が上がる会場ーーー


チートたけし

「なぜわざわざ子どもを?大人ではないんですか?」


カニデワ・ナイデス

「はい。大人は大きいし強いので、あまり狙いません。群れからはぐれた子どもなどを主に狙います。」


チートたけし

「ええ……じゃあ子どもは弱いから狙うんですか。」


カニデワ・ナイデス

「はい。やはり大人より捕まえやすいですから。」


チートたけし

「ひどい……」


カニデワ・ナイデス

「ひどい?」


チートたけし

「だってわざわざ弱い者を狙っているわけでしょう。そりゃあ人間から見たらひどいことですよ。」


カニデワ・ナイデス

「そうですか?普通生き物は自分より弱い者を狙うと思いますが………。」


チートたけし

「そうかもしれませんけど、人間はね、動物を食べるにしてもあんまり子どもを狙うってことはしませんね。」


頷く会場の観客達ーーー


カニデワ・ナイデス

「へえー。それはすごい。大人の動物を狙うんですか。」


チートたけし

「牛や豚なんかにしても、ちゃんと大きくなってから殺してますし、魚なんかも稚魚は獲らなかったり、捕まえても逃したりしてますよね。」


会場の一同も司会に同意ーーー


カニデワ・ナイデス

「それは……なぜですか?子どもの方が狙いやすくないですか?わざわざ大人を狙っているということですか?」


チートたけし

「人間は基本的に子どもを大切にするので、子どもはあんまり狙わないんです。」


カニデワ・ナイデス

「子どもをなぜ大切にするんですか?自分達以外の子どももってことですよね。人間以外の子どもを大切にするのはなぜですか?」


チートたけし

「やはり生き物ですから、子孫を残すって大事でしょ。だから子どもは大切ですよね。それはわかりますか?」


カニデワ・ナイデス

「それはわかります。私たちも天敵から自分たちの子どもを守るということはよくします。」


チートたけし

「でね、人間は優しいですから、人間以外の子どもも同じように大切にするんです。やっぱりね、本能的に、他の生き物の子孫も大切にしなきゃなーと思うわけです。」


会場から拍手がーーー


カニデワ・ナイデス

「自分達以外の子どもを守るのが優しいんですか。」


チートたけし

「我々人間はね、そう思います。」


カニデワ・ナイデス

「じゃあ子どもを狙うっていうのは、だいぶ優しくないってことになる、んですよね?人間から見ると。」


チートたけし

「はい。そうです。なので、わざわざ人間の子ども!子どもをね、狙うっていうのは、どういうことだ!と感じるわけですね。」


カニデワ・ナイデス

「はあ〜……。(理解が)難しいですね。」


副司会ニートたけし

「ではここで、カニバリ星人の方に人間の食事を体験してもらいましょう。海鮮丼です!」


海鮮丼がカニデワ・ナイデスに振る舞われるーーー


カニデワ・ナイデス

「わあ〜。なんだろうこれ?何でできてるんですか?」


チートたけし

「これは魚の切り身やイクラ、数の子やウニなんかを米……稲ですね、の上に乗っけた食べ物です。」


カニデワ・ナイデス

「イクラってなんですか。」


チートたけし

「鮭のたまごです。」


カニデワ・ナイデス

「えっ?たまご?」


チートたけし

「数の子も魚のたまごです。ウニは生殖巣の部分を食べています。」


カニデワ・ナイデス

「人間は魚のたまごや生殖巣を食べるんですか?」


チートたけし

「はい。」


カニデワ・ナイデス

「人間は子ども食べないって言ったのにたまごは食べるんですか!?」


湧き上がる会場ーーー


チートたけし

「(笑いを抑えながら)そうですね。食べます。」


カニデワ・ナイデス

「子ども大切にしてないじゃないですか!」


チートたけし

「(笑)」


海鮮丼を口にするカニバリ星人ーーー


番組終了の音楽が流れ始めるーーー


チートたけし

「カニデワさん、ではお味のほうはいかがでしょう。」


カニデワ・ナイデス

「嘘のようにおいしいです。」


チートたけし

「ありがとうございました。みなさん、また来週お会いしましょう!」


次回予告、家畜によく似たミノタウラ星人やクックルドゥ星人との対談ーーー


人間の食事は彼らにどう見えているかに迫ります。

それではまた来週ーーー

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人肉食主義者との対談 ユダカソ @morudero

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