友人

友人

私の友達は少し頭が悪い。

はっきり言ってクラスの最下位に近い。

でも私の話を聞いてくれるから好きだ。

友達は私によく「面白い話をして」と言う。

私は過去にあった楽しい話をする。

友達はケラケラと笑った。

ウケたんだなあと思い、再び「面白い話をして」と頼まれたとき、他に思いつかないのでまた同じ話をした。

友達は前と同じようにケラケラと笑った。

同じ話だが、前に話したことは忘れていたのかもしれない。

再び「面白い話」をせがまれた時も同じ話をした。

友達はまた初めて聞いた時のようにケラケラと笑う。

流石に「もう聞いたよ」とツッコミが入るんじゃないかと思ったが、また忘れてしまっているのだろうか。

まあ、友達が「面白い話」をせがむのは毎日というわけじゃない。

気が向いた時にふと、というタイミングで聞かれるので、きっと本当に忘れているのだろう。

この子は成績も悪いし、物覚えが悪くても不思議ではない。

この子と友達でいられるのは私くらいかもしれないし、何度も同じ話をしてあげようと思う。

私の友達はとても頭が良い。

はっきり言って成績はクラスの上位だと思う。

私は本当に友達を尊敬している。

そんな友達ならたくさんものを知っているかもと思い、「面白い話をして」と聞いてしまう。

友達は過去にであった、学校のうさぎに話しかける奇妙な人の話をした。

その話が本当に奇妙だったので、私は思わず笑ってしまった。

また違った話を聞きたいと思い、私はまた「面白い話をして」と話題を振った。

友達は前と同じ話をした。

同じ話だったが、友達は面白そうに話すので、思わず笑ってしまった。

前に話したことは忘れているのかもしれない。

再び「面白い話」を聞いてみた。

友達はまた同じ話をした。

よっぽどその話が好きなんだなあと思うと笑えてきた。

流石に「もう話題無いよ」と言われるかと思ったが、また忘れてしまったのだろうか。

まあ、私が「面白い話」をせがむのは毎日というわけじゃない。

気が向いた時にふと、というタイミングで聞かれるので、きっと本当に忘れているのだろう。

この子は成績がいいが、こういうドジなところがあっても不思議ではない。

この子と友達でいられるのは私くらいかもしれないし、何度も同じ話を聞いてあげようと思う。