第10話陽菜ちゃんが良く歌ってるやつ。

「私、そんなにそっちこっちで歌ってる。もうやだ」


 顔を赤くして恥じらう陽菜。


「うん。歌ってる」


 白組六年生全員一致の反応。


「まあ。良いじゃん。お前が歌ってるのを聞いて、その歌が好きになったのも事実なんだからさ」


 大翔が言った。


「うん」


 陽菜。


「歌が決まった所で五年のところに行って打ち合わせするぞ」


  早葉が言った。その足で早速白組五年生を集めると打ち合わせに入った。


「歌は“レイナ。今なら君に”に六年生としてはしたいんだが、違う歌がいい奴が居るか?」


 早葉が聞いた。


「ああ。陽菜ちゃんが良く歌ってる奴。良いんじゃ無い。それで」


 山田心彩やまだここあが言った。益々恥ずかしくなる陽菜。


「異議無し」


 白組五年生の男子が言った。


「私達もそれで良いです」


 顔を見合わせて頷く白組五年生の女子も言った。


「歌はそれで決まりとして、次は振り付けに移ります。歌はこんな感じになるので、それに合わせた振り付けを考えて下さい」


 言って、早葉は陽菜を皆んなの前へ引っ張り出して来た。


「ちょっと」


 動揺する陽菜。


「歌って、教えてやってくれ」


 早葉は手を合わせて懇願する。渋々陽菜は歌い始めて見る。


「パチパチパチパチ」


 皆んなの手拍子が始まった。それぞれがアイデアを出し始める。


「この所でこんな風にターンするのはどう」


 五年生の稲木日花梨が言った。


「ここにステップを入れるのも良いかも」


 松本陽向まつもとひなたが言った。加藤美羽が、工藤紗弥花くどうさやかがどんどんアイデアを出して行く。松本陽斗まつもとはると、渡辺響介がそれに負けじとアイデアを出して行く。


「ここはこうして手を上に挙げてその手をグルグル回すなんてどう」


 潮来眞白がポーズを決めて見せる。


「それなら、ハンカチとかタオル持って回したらどうかな。まるでコンサート会場みたいに盛り上がるんじゃ無い」


 清水乃彩が言った。


「ちょっと待って、私達は白組よ。白組がハンカチやタオル振ったら、降参したみたいに見えるじゃ無い」


 藤木怜子が言った。乃彩と眞白はしょぼくれてしまった。

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