第5話 リアルなダンジョン5
予定を終わらせていつものダンジョンに行く。
じわじわと電車賃が財布の厚みを削っているが、ゲームの世界が……画面の中の世界が肌に感じられるようになったのならば、行きたくなるのが趣味というやつかもしれない。
装備品は相変わらず普段着に新しく購入した大きめのリュックサックと
1メートルの鉄パイプ、安いナイフとそれを固定できるようにする固定器具。
ナイフを鉄パイプに固定することで組み立て式の槍を持ち込めるようになった。
ダンジョン用の手続きは比較的簡単で、役所への書類提出するだけで一番下の冒険者資格証が取れる。
その分警察にお世話になったりと何らかのもめ事でも起こしたりすると、理由や過失の有無などで資格が取り消されたり色々あるとか。
まあ刃物を持ち歩く時は直ぐ取り出せる用にはしない。それを守れば最低限なんとかなる。
一応ダンジョンへの武器持ち込み許可証も申請しておいたが、こういった分解可能なものじゃなく、大きな剣やら槍なんかの持ち込み用かつ、資格の取得直ぐは取れないことがほとんどだとか。
話がずれた。
とにかく、今日はこの即席の槍と出来るなら魔法の習得、運用についてのお試しで来ているわけで。
いつも来ている1層の草原ではなく、2層の森のある草原へと足を運んでいる。
1層の死人の出ることは無さそうな割と安全な草原とは異なり、2層は死亡者の出るダンジョンの恐ろしさが分かり始める場所でもある。
ここにはダンジョンオオカミが出る。こいつらは低層にも関わらず最低2匹、最高8匹で襲ってくるゲームバランスいかれていると言わせた要因のひとつでもある。
それにダンジョンキャロット、手足のある化け物ニンジンが出ることもある。
見た目はサイズそのままなニンジンに手足のようなコブが付いていて、顔のように見える節目がある。
こいつらも群生している上に、最低1匹は魔法で攻撃してくる親のような成体がいる。
なお、味はいいとかなんとか。
キャロットと付いているが厳密にはマンドラゴラ類のカテゴリーで野菜のニンジンではなく、生薬なんかの粉末とかで使うニンジンに近い性質だとかハカセが書き込んでた気がする。
さて、1層から2層への階段は人の往来がそこそこ有るので何の苦労も無く進めることが出来る。
2層から3層も多分行くだけなら余裕。
そして、ダンジョンアタッカーであったレベリング要素がどこまで有効なのかの検証も進めたい。
というのも、厄介なダンジョンオオカミだが、同時にゲームでは美味しい獲物でもあったのだ。
こういう群れで出て来るモンスターには特効なアイテムが同マップに配置してあることが多く、こいつらの場合は爆縮オレンジというやたら物騒な衝撃で爆発するとんでもない果実がある。
このオレンジと胡椒の粉、小麦粉を上手く配合してやると特製かんしゃく玉を作ることが出来る。
これがあればゲームでは約3分のボーナスタイムに突入するわけで、レベリングのお供だったわけだ。
つまりは、だ。
今日の目的はレベリングオフ会に向けてオレンジを集めておこうって話だ。
森の中に無防備に入るわけにもいかないので、森の端に生えているオレンジを集めていくのだが、意外と生えていない。
これに焦れて森に入っていくとガブッとやられるので本当上手く出来てるな……と苦笑いが出る。
結局3時間のんびりと休み休み集めて、次元収納にオレンジを詰め込みつつ2層のモンスター素材である、はぐれニワトリのたまごとバッタの足3つを回収して帰宅することにした。
なお、オレンジは21個回収することが出来た。ゲーム内では次元収納を入手するまでは現地で調達して現地で調合する必要があったので、それに比べるとだいぶ楽できたと言えるだろう。
余談だけど、このオレンジは衝撃で爆発するわけで……当然包丁で切ろうとしても爆発するので食べられないと思いきや、水から10分中火で茹でることで爆発しなくなることが判明している。
かんしゃく玉の時はわざと爆発させてから調合している。
爆発させると味がだいぶ落ちるが、味はそこまで重要では無いので問題無いわけだ。
ちなみに1度爆発させた程度では食用には向かない。かんしゃく玉に火薬を使わずに作れることから、爆発する成分は割と残っているからだ。
だからこそ、こうやって食べる機会が発生したことはヘビーゲーマーからしたらとんでもない幸運だと思う訳だ。いやー楽しみだ。
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