第3話 リアルなダンジョン3
少し辺りを見て回ってからダンジョンから出る。
帰りは受付にて入手したアイテムを見せ、何をしていたかを軽く話して簡単な記入をして終わりだった。そのあとは何も無く電車に乗って帰った。
ちなみに、モンスター分布はネズミにウサギ、スライムやバッタとかの昆虫が何種類か居た。
ゲーム内よりも種類が多い気もするが、おなじみのラインナップではあった。
なお、スライムは緑色のブヨっとした粘液のかたまりで知性があるかは怪しい本能で動いてる核を潰さないと真っ二つにしても動くタイプだ。
ドロップも無いリスクもリターンもないダンジョンの掃除屋と言われているので無視した。
持ち帰ってきたアイテムはバッタの足が2つ。あれから追加で3匹の合計4匹倒してドロップは2つなのでドロップ率は50%とゲーム内よりは今のところ上振れている。
使い道は……記憶にない。
まあ売っても利益が電車賃を超えない時点で入手難度は低い上に入手し易さが分かると言うものだろう。
子供の小遣い稼ぎならアリかな?と思わなくも無いけど、入場規制は15歳でそんならバイトした方が確実だよね。
コミュニティ用のチャットアプリを開く。誰か欲しい人が居るなら渡すのもアリだけど、需要が分からんから一般に流通しているんだろうか。
ーーーーー
ウエダ:ダンジョンから帰宅。バッタの後ろ足が2つあるけど欲しい人居ます?あと使い道はある?
ハカセ:一応武器制作素材になる。あとは粉末にして昆虫系の装備製作の補助アイテムになる。
ウエダ:見たこと無いけど強いの?
ハカセ:弱い。金属バットよりは打撃力があるんだけど、耐久性が無いからね。打撃武器にしては単純に関節が脆いから、色々と無理がある武器かな。
ジンジャービール:ゲーム内では他に調べるアイテムがたくさんあったから探してないんだけど、何か別の武器のベース素材になる前提じゃ無いか?と言われてたね。同レベル帯でバッタ武器だけやけに脆いからさ。
ウエダ:なるほど。とりあえず確保しておきます。
ーーーーー
使い道は分からんけど、無駄に作り込みとやりこみ要素の多いダンジョンアタッカーだし武器を強化していくベース素材って可能性はありそうか。
まあリアルになってから変更される要素とかって、ベータ版からの正式版みたいなものとすると……なあ。
あれから数日、比較的時間に余裕のあるメンバーを中心にダンジョンに潜ってゲームだった時との差を確かめる為に何度か足を向けている。
バッタの触覚、羽根、後ろ足。
ウサギのしっぽ、ネズミのしっぽ。
それと猫の肉球チケット。
動物系はゲーム内でもしっぽしかドロップし無かったし、正面から戦うのとかなり強いので戦った経験は薄い。
何故ドロップ品があるかというと、彼らは罠に引っかかるとしっぽを残して消えていくという仕様が現実でも反映されていたから……としか言えない。
猫の肉球チケットについては、まれにバッタをいたぶる猫がダンジョンに現れることがある。
その際に、猫缶や魚を渡してインクとチケットを見せると機嫌次第で肉球のスタンプを押してくれるというものだ。
ゲーム内では無類の猫好き(猫アレルギー)の人が発見しなければ多分永久に発見されなかった気がする。
まあ、猫の国とか猫商人に遭遇しないと紙切れと同じ価値しか無いのが欠点かな。
さて、ゲームのダンジョンアタッカーだけど……遊べなくなっている上にデータ選択画面も無くなっていたし、ネット上のウィキすらも……ちょっとした情報さえも見つからなかった。
代わりに、ゲームを起動するとチェックボックスと共に特典の選択画面が表示されるようになっていた。
特典を選択する為のリストは異様に短いスクロールバーと供に膨大な数になっていて、なおかつ現実になってから一週間、残り時間は2日ほどで特典を選択する必要があるらしい。
ここはゲーム内データを記録してくれていた皆が精査するとのことで、リストの内容から選ぶべき特典を探してくれている。
僕らの生活はだいぶ変化してしまったけど、世間一般でいうところの[クソゲー]に溶かした時間は形を変えて継続していきそうだ。
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