第97話 霞と愛理

ここは朔夜と遥の学校である。東京駅ダンジョンのスタンピードが起こった翌日である。スタンピードは、無事に乗り切ることが出来た。その為、今日は学校に来たのであるが、本当なら師匠と一緒にダンジョンに行きたかったのが2人の本音である。ただ、東京駅で別れた一条愛理と美堂霞に元気な姿を見せてあげたいのである。昨日は、電話で無事を伝えたのみだったからである。そんな感じで朔夜と遙は学校に登校してきた。2人が教室に入ると愛理が2人の真ん中に飛び込んで来たので、朔夜と遙は受け止め、愛理は2人を抱き締める。その目には涙が浮かんでいる。


「ふぇぇぇん!無事で良かったよ~!!」


「ああ!無事な姿を見れて安心したよ。」


霞も涙を拭きながら立っている。


「大丈夫ですよ。」


朔夜が答える。


「どこも怪我してない?」


「大丈夫っすよ!」


「そうなんだ。良かったよ!」


愛理は、大丈夫と言うと物凄く安心したようである。


「はっ?どうせ行っても何も出来なかったんだろ?」


声の方を向くと、そこには昨日朔夜達を案内した藤原、須賀原、土岐田の3人が居た。


「どうせって何スッすか?自分達は私達を置いてさっさと逃げた奴の言う台詞じゃないっす!!」


遙は、藤原言葉にキレる。


「そうですね。あんなに意気地が無いとは思いませんでした!!」


朔夜も冷ややかに言い放つ。


「え~?マジなの?貴方達、2人を見捨てて逃げちゃったの?」


「愛理。コイツらはただの臆病者よ!」


「おっ、お前らは見てないからそんなことが言えるんだ!あんなの見たら俺達のこと臆病者なんて言えないさ。それに、天上院達もどうせ大した役に立たなかったんだろ!そんな奴にも言われたくない!」


「「そーだ!そーだ!」」


藤原の言葉に賛同する須賀原と土岐田である。


「朔夜。アイツら面白いことを言ってるっす!」


「そうですね!真実を知らないなんて愚かですね!」


藤原達3人は、朔夜と遙が何を言っているのか理解することは出来なかった。何しろあの場には3人とも居なかったのだから。


そんな3人を放置する。そして、朔夜と遙は、昨日あったことを説明するのである。因みに朝の時間に話は終わらなかったので、昼休みにまた話すことにする。


そして、昼休み。4人で学校にある食堂で一緒にランチをしながら話をする。


話を終えた朔夜と遙は満足そうである。


「そっ、壮絶だね!」


「そうだな。でも、よく無事で帰って来れたよな。」


「うんうん!そうだよね!」


愛理と霞は、2人が無事に帰ってきた事を喜んでいる。


「でも、本当の事を言うと師匠が来なかったら危なかったっす!」


「そうですね。確かにあの量の敵を相手にするのは大変でしたね!」


「遙、その師匠ってどんな人なの?」


「それは、私も興味があるな。どんな人なんだ?」


「そうっすね。どんな人かと言われたら、まず、私達の恩人っすね!」


「「恩人??」」


愛理と霞が首を傾げる。


「そうっす!私達は、春休みに朔夜の爺さんのところに行ってたっす。その時期はちょうどダンジョンの解禁した時期だったんっす。それで、私達は我慢が出来ずにダンジョンに行ったんっす。そこで、あるグループが声をかけてきてくれたんす。はじめは特に問題なく探索をすることが出来ていたんすけど、そいつら急に人気が少ない方に行きはじめたんす。そしたら、そいつらが私達を襲って来たんすけど、そこを師匠に助けて貰ったんす。それが、師匠との出会いっす。それから、色々と面倒を見てくれてるんです。そのお陰で私達は滅茶苦茶強くなれたんす!ねえ、朔夜!」


「そうですね。あの出会いは私達にとってラッキーでしたね。それに、私のお爺様も師匠に世話になってますからね。」


「朔夜のお爺ちゃんと言うと、天上院グループの元社長だよね?そんな人が今は探索者なの?結構高齢なんじゃないの?」


「そうですね。60歳位ですかね。」


「朔夜の爺さんは、所謂、戦闘狂っす!」


「「せっ、戦闘狂!!」」


「そうっす!戦ってる時はめっちゃ生き生きしてるっす!」


「話が反れましたね。師匠は、レベルアップに協力してくれたり、強い武器を貰ったりしていますね。」


「凄いんですね。その人。」


「そうっす!師匠様々っす!」


「そうですね。」


確かに師匠に巡り会わなければあのまま強姦に襲われていたのかもしれない。なので、師匠に出会えたことはとてもラッキーだと思う。

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