逃げた先でのやり直しは頑張ります!〜異世界逃走記

ロングアゴーン

第1話 1からやり直し

「はぁ……消えたい」

そうつぶやいたのは俺こと、

山田颯人28歳である。


「もうマジでつかれたって、何もかも捨てて逃げてぇ。

けど、そんな事したってなんだよなー…」

もう何回目かもわからない自問自答を繰り返す。


「と言っても、全部自業自得なんだけどな。

ははっ」

そう俺が今まさにこうなっているのは、

自業自得以外のなにものでもない。

人の期待や信頼を裏切り、欲のままに行動し、友達も家族も全て失った。

最初は小さい嘘から始まり、お金に目が眩み失敗ばかり、自分を表すならば一言で【立派な詐欺師】である。

後悔先に立たずとはよく言ったものだ。

気づいたときには時既に遅し。


「はぁ…どっか別の世界で1からやり直したりできねぇかなぁ…ふぅー」

タバコを吹かしながらコンビニの駐車場でアホなことを言う俺。

この歳でこんなアホなことを考えているのは俺くらいのものだろう。

普通は皆もっとマシなことを考えているはずだ。


「なんてな…アホなこと言ってないでこれからどうするか考えねぇとなー」

現在俺は、借金1億、ブラック企業務め、友達無し、家族無し、恋人無し、金無しの人間底辺である。


「飛ぶか?」

逃げようかどうするか考えていると突然


「ふぅん…。

君でいいかな。面白そうだ」


そうどこからか聞こえてきた。


「なんだ?…今声が聞こえたような?」


周りを見るが誰もいない。

時間も遅いし、田舎なので人気はない。


「気のせいか?」

そう思っていると


「君に決めたぁーーー!!!」


と、某なんとかタウンの黄色いネズミを連れた男の子の様な発言が聞こえた。


「え!?え!?なんだこれ!?えーーー!?」

俺は突然黒い穴に吸い込まれていったのである。



(さてと、君は何を求めるのかな?)



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