重量級聖女と小さな傭兵のお話

A230385

開端

 大昔、私のおばあちゃんのおばあちゃんのそのまたおばあちゃんのさらにずっと前に、人類は地球と言う星に住んでいた。

 その星はその面積の多くが青い海で、そして少ない緑あふれる自然豊かな大地に多くの動物たちと一緒に住んでいたのだという。

 しかし、そこから長い時を経て人類が文明を築き上げると、人類は昔に共に暮らしていた多くの生き物たちの事を忘れ、文明の発展に伴って大量に発生した副産物によって大地と広大な海を汚染した。

 それでも、顧みることなく地球に住む人類以外の生き物を傷つけるだけでは飽き足らず、人類同士で取り返しがつかない程に傷つけ合い、結局人類は汚染しつくされた星に耐えきれなくなり、戦争を生き延びたごくわずかな人々は地球を去っていった。


 それから何代も後に、見つけたいくつかの人が住めそうな星々を新たな故郷としてそこに住み着いた。

 それでも、人間は容易におのれを変えることは出来ずに結局、人類は争った。

 幾つかの新たな国家群と主義思想を持つ人々が自分たちの利益を求め紛争を起こし、対立を深めた。

 挙句に新天地を見つけてから数百年たって、約五十年以上も続いた大戦争が起き、結果として新天地の環境をひどく汚染し、十年前、私が八歳くらいだった時に終戦した。


 私がその戦争を体験したのは最後の八年間だけとはいえ、生まれてからずっと戦時下で生きてきて、その戦争で起きた多くの話をテレビやラジオで聞いたし、挙句に戦火に巻き込まれ私は両親を亡くして今の養父に引き取られることになってしまった。

 大きな力を持つ人間がさらに多くの利益を得るためだけに起こした戦争で。


 大きな戦争は終わったものの、それでも未だに多くの巨大な国家や組織によってさらなる利益を求める経済戦争という名の小さい戦争は続いていた。

 それは小さいながらも、この戦争は未だに新天地のごく一部以外の星系全土を巻き込んでいて、そして結局、生まれてからずっと人々の醜い部分を目にしながら、私も養父のもとで、自分から望んだこととはいえ、その延々と続く人の欲望による経済戦争の尖兵となっていった。

 —――けど、ある時に変化が訪れた。私の戦いと人生を、この新天地を大きく変えるほどの。

 発端はC12“ヘファイストス”の工業地帯での任務で私は彼と出会った。

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