第10話 愉悦のゆ!!

 この世に存在するありとあらゆる有象無象を、全て破壊できる。そう思うほどの密度と、大きさを持った極大熱砲ブレスが。

 手のひらサイズの球体に、到底収まる訳がない、されども超容量により押し固め、圧縮された何もかもが、我先にとできた穴から逃れようとする超質量が。

 同時に放たれ、正面から衝突した。一瞬の硬直の後———————私の《圧縮砲》が極大熱砲ブレスを食い破った。

 物凄い衝撃波と、爆音が鳴り響き、一瞬でそれも無くなった。

 炎龍皇の方を見ると、胸に大きな穴が、ぽっかりと空いていた。


「《がふ、よもや、これほどとは》」

「一瞬、止まったのは驚いたよ。強かったよ、炎龍皇マグニュードラゴさん。それに楽しかった」

「《がはは!それはよかった!》」


 そう言って、落下していく。

 最後まで楽しそうに笑ってたなぁ。




「いただきます!」


 手からマグニュードラゴさんを食べる。特別扱いするのもなんだか違うしね。

 流石、最上位特級相当なだけあって、直ぐに吸収は終わらなかった。魔石もそれなりに時間がかかった。


「ステータス、どうなったのかな?」


 レベルどのくらい上がってるんだろ?


—ステータス——————————————

名前 なし

種族 不形定まらぬカタチ

レベル 289756

技術 《変形カタチツクリ

————————————————————


 うわ!約100000もあがってる!……やっぱ強かったよ、炎龍皇マグニュードラゴさん。

 でも、なぁ。なぁんで100000もレベル上がったのに、人間になったときの私の体って、見た目の通りなんだろ?18歳相当しか力も出ないし、スピードもでないの、不思議。触手は多分レベルの通りなんだけど。

 ………転生前の私に成ってるからかな?多分。まあでも、《変形カタチツクリ》でなんとかなるからいっか!







 200階層。あれから、たまに階層の主と戦うことがあったけど、全部マグニュードラゴさんみたいに会話できる知能はなかった。多分、そのせいか心なしかマグニュードラゴさんの方が強い気がする。

 いまは、ダンジョンボス部屋の前にいる。今の私のステータスはこう。


—ステータス——————————————

名前 なし

種族 不形定まらぬカタチ

レベル 5048792

技術 《変形カタチツクリ

————————————————————


 もうここまでくるとギャグだよね。500万は流石に。限界ってないのかな?…多分ないんだろうな。まあ、これ以上上げてどうするのって感じだし、レベルはもう上げなくても大丈夫かな。まあどうせ勝手に上がるんだろうけど。

 ダンジョンボスって、どんな強さしてるのかなー?マグニュードラゴさんより強いかな?あ、でも、今じゃあんまり接戦はないだろうな。というか、環境変化型ダンジョンって、最下層の各層の主とダンジョンボスって同じ強さらしいし、楽に終わりそうだな。


「まあ、うだうだ考えるより先に進んだほうが早いし。………すぅー、たのもー!」


 扉を開けると、スライムがいた。


「《鑑定》」


—ステータス——————————————

名前 暴食王

種族 スライム

————————————————————


 正直、名前と種族名だけ分かればいいし、強さなんて見たらなんとなくわかるからこれで完成。正直言って、《鑑定》はこれ以外に使わないし必要が出たら改良すればいいだけだ。


「すら!」


 そう言うと、スライムが姿を変えた。人型に。


「ん、なるほど、流石最難関ダンジョン。ダンジョンボスは主の10倍なんだ」


 くふふ、くふふふふ!ああ、面白いなぁ。

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