故に、俺は間違える
大西志乃
第1話 間違いだらけのプロローグ
現代文担当の国語教師である
さて、なぜ俺は今そんな先生と
小鳥遊先生はため息をつき額に手を当てながらそのまま前髪をかきあげた。
「呼び出された理由は分かっているよな?
「・・・・・・以前行われた現代文の中間テストでギリギリ
風が吹いた。うーんなぜだろう。窓は閉まっているし、エアコンも扇風機もついていないいわば
恐ろしく速い拳、俺でなきゃ見逃しちゃうネ!
「この学校が原則、部活に入らないといけないことは知っているな?もう入学して2か月が経とうとしている。部活動に入っていないのはお前だけだぞ?」
「原則っていうことはそれに該当しない人物が一人くらいいてもおかしくないでしょう。そもそもやりたい部活動がないのにお金をかけてまで入りたくないないですよ」
「ほう。
そういえば、先生は今日タイツを
そんなことを考えていると。二発目が飛んできた。
「真面目に聞け」
「はぁ」
「そもそもなぜそこまで部活に入りたくないんだ?運動が苦手というわけではないのだろう?勉学だって中間は赤点ギリギリだが全国模試は・・・・・」
「さっきも言ったでしょう。やりたいことがないんですよ」
「ならば、私の部活に入ってみないか?」
「先生の部活・・・・・・ってなんでしたっけ?」
「相談部だ!」
は?初めて聞く名前だ。意味わかんねー部活だな。よし。いい感じにお断りしよう。
「は?初めて聞く名前だ。意味わかんねー部活だな。よし。いい感じにお断りしよう」
「口にでてるぞ」
なんてことだ。
「部活の
聞いてないのに説明始めちゃったよ。そして終わったよ。帰りたいよー。
「部活というよりボランティア活動みたいっすね。あっもう部活の時間なので帰宅しますね。さて今日はどんなパン屋に出会えるかな~」
「帰すわけないだろう。帰宅部は部活ではない。ここに入部届の紙がある。すでに名前は書いてあるからあとは頬月が顔を出すだけだな!では行くかあとパン屋は後で私にも教えてくれ」
うーん
「ところで部員は何名いるんですか?」
「今のところ頬月を合わせて二人だな」
「一人じゃないですか!よくそれで部活動の許可がおりましたね」
「この学校は半強制的に部活動に入れさせる代わりによっぽどのことが無い限り部活における制限がないんだよ」
知らなかった。なるほど。確かにそれならば俺以外に部活していない人がいなくてもあまり不思議ではない。
「知らないって顔をしているな。入学式初日で言ったはずなんだが・・・・・・そうか確か頬月は欠席してたな、となるとそうだな・・・・・・友達とかあまりいないのか?」
ぐさっ。直球ですね。いや違うんですよ。俺は、僕は友達を作れないんではなくて作らないんだ。人間強度がさがるから・・・・・・ってどこかの変態が言ってたのでそれを
「あまりって
「なんかすまないな」
泣きたい。しかし、女の前で涙は見せるなとどっかのじっちゃんが言ってた。誰だよじっちゃん。
「じゃあ彼女とか・・・・・・いるのか?」
泣こう。てかとかってなんだよ。俺が彼氏いるって言ったらどうすんだよ。
「今は、いないですけど」
まるで、前にいたかのように見せかけ嘘を言っておらず、一応未来に希望を込めるという高等テクニック現代文赤点の文才が火を噴くぜ!
「そうか・・・・・・」
先生がなぜかにまにましている。あーこの人確かまだ
この
先生が
―嫌な予感がする。
そもそも相談というのがろくなもんじゃない。
相談なんていうのはもっと親しい友達や身内、教師がするべき大事なことなのではないのか。それが陰キャ・ぼっちの俺がするなんて考えるだけで胃から何か出てきそうだ。親しい友達か身内、教師以外で相談なんてものを受けていいのはディズニーランドにいるクラッシュだけだ。間違いない。取り合えず予防線ははっとくか。
「先生、先ほど言った通り、俺には友達がいません。そんな俺に相談したい相手なんていないと思うんです」
自分で言ってて心が痛い。しかし、これで先生の心にとど・・・・・・
「そうか。それならこれからどんどん増やせるなよかったじゃないか」
かなかった。
「着いたぞ」
先生が立ち止まったのは5階の角にある何の
プレートには何か書かれている。しかし、読めない。どれくらい読めないかというと国会の
俺がプレートに呆気をとられていると、先生はからりと戸を開けた。
その教室の隅っこには机と椅子が無造作に積み上げられている。物置なのだろうか。他の教室とはそこが違うだけで他と内装に変わりはない。いたって普通の教室である。けれど、そこがあまりにも異様に感じられたのは、一人の少女がそこにいたからだろう。
彼女はレースのカーテン越しに
それを見た時、俺は文字通り呼吸をするのを忘れていた。
—不覚にも
彼女は来訪者に気が付くと文庫本に
「小鳥遊先生・・・・・・暇なのですか?」
「おいおい教師が暇なわけがないだろう?新入部員を連れてきた」
小鳥遊先生の言葉に、彼女は呆れた視線を送る。
「それで、その一度あったらその日の夜に忘れそうな顔の人は?」
俺はこの少女を知っている。
一年一組、通称Sクラス
儁秀高校には普通科10クラスの他に文系と理系にそれぞれ一つづつSクラスというのがある。このクラスは普通科よりも、5
そんな注目を集めるクラスで
彼女は入学式の代表スピーチを行ったらしいし、以前行われた中間テストは勿論先日の校内実力模試でも
そして、それをさしひいたとしても余りある注目を集める理由がある。
美少女なのだ。学校一と
かたや俺は特に生徒から注目を浴びる何かを記録として残していない一般生徒のため、同じクラスの人からさえ記憶されていないだろう。だから傷つく必要はない。しかし、その日の夜には忘れるのかー。・・・・・・ちょっぴり心にひびが入った。
「彼は
「一年九組頬月未来彦です。えーっと、希望者ではあり・・・・・・ます」
「君にはここで部活動に励んでもらう。
「・・・・・・はい」
「というわけで、見た通り彼は
見てわかんのかよ。気をつけよう。
「彼の
「お断りします。その方の目が気に入りません。お断りします」
なぜか嫌われた。というか二回断られた。
「まあまあそう言わず頼むよ巫。・・・・・・いや、そうだな。巫には荷が重かったよな。すまない。私の見込み違いだったようだ」
そんな
「いいでしょう。先生の挑発に乗るのは
のっちゃったよ。そして相も変わらずそこに俺の意思はないらしい。
「そうか。なら、後のことは頼む。」
そう言うと、さっそうと教室を出てどこかへ行ってしまった。
気まずい。ただでさえ男子の友達もいないのに異性と二人の空間は息がとにかくしにくい。これならぼっちの方が気がらくなのではないだろうか。
時計の
「座ったら?」
「あっ、はい」
ぼっちあるある。会話しなさすぎて始めに「あっ」ていっちゃうんだよねー。
「なぁ/」
「ごめんなさい。それだけは無理」
「まだなにも言ってねぇーだろうが」
「
きょとんと顔を傾けて聞いてくる。いい加減怒らなければいけないようだな。こいつ本っ当に・・・・・・可愛いな、おい。駄目だった。
「ちげぇーよ。ここがどういう活動しているのか聞こうかと思っただけだわ。その
どの口が言っているのだろうか。自分で自分を引いてしまった。
「まだ活動したことはないわ。できて二週間ほどの部活だもの。まだ
そうなのか。
「へぇーじゃあ
「二人体験入部に来た子がいたわ。どちらも三日目にはいなくなったけれど」
気まづいてー。ありきたりな質問しかしてないはずなのにどことなく空気重くするのやめろよ本当。ふぅー切り替えが大事だ。
「そういえば何の本読んでるんだ?」
「そして誰もいなくなった」
おわったー。
名作中の名作だ。こんな状況じゃなければ語れていたのに俺は選択を誤ってしまったらしい。
「ところで、あなたは何故ここに入部してきたの?」
まじ最悪とか聞こえてきそうなのは俺の感性が豊かだからだろうか。
「・・・・・・最悪だわ」
現実だった。
「お前中々口が悪いな。それと入部したのは俺の責任じゃない」
「あなたは
「どこの部位をですか!?」
「教室で異性と二人っきりなんて私は初めての経験だったのだから、もっと優しくしてくれてもよさそうなものじゃない」
言うこと
「じゃあ、具体的にどうすればよかったんだよ」
「そうね。ほんの一例だけれど、例えば、視界から消えてくれるとか」
「こえーよ。てか、お前が座れって言ったんだろうが」
「あれは
「高度すぎるわ。
「ひどいわね。頬月君。その文脈だと頬月君じゃなくて私の性格が悪いみたいに聞こえるわよ?」
そう言ったんだ。
「ったく—少しはマザーテレサを見習ってほしいぜ。」
「彼女は私の弟子みたいなものよ」
「
「そんな気安く私の言葉に突っ込みを入れないでくれるかしら。さっきから、もう、本当に馴れ馴れしいわ。もしも知らない人に聞かれたら同じ学校に通っていると思われるじゃない」
「いや、同じ学校じゃん!」
そこまで否定されるのかよ。そもそもここ教室だよ。
「失礼するぞ」
「先生ノックを」
「すまない。すまない。ところでかなり仲良くなっているようだな。良かったじゃないか。」
「よくないです。この人を退部させるには
さらりと怖いことをいう。
「まあそうかっかするな今日のところは時間だから上がりだ。明日も頑張り給え」
その言葉と同時に巫は帰る
が、何も言わずに帰って行った。
あまりにも冷たい対応にぽつんと教室に一人置き去りにされた。
今日という日はなんて
こういう展開だと段々仲良くなっていくとかが
やはり
地区予選で
あとは、そうだな。こんな口を開けば
異論反論講義質問口答えは一切認めない。なぜなら青春なんて日常を
故に、俺は間違える 大西志乃 @akitatika
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