第45話 エピローグ
誕生祭は盛況のうちに幕を閉じた。あれからノア様もクロティルド王太子殿下も私と接触する事は無かった。
お婆様は離宮へと帰り、私とマティアス様は学院がまた始まったわ。一年程経った頃にエリアス国王様から話を聞いたのだけれど、ノア様は婚姻をしたみたい。
どんな人と結婚したのか少し気になったけれど、そこについては教えて貰えなかった。
そして私はというと、学院に通いつつ、週末はレフト伯爵家に行って伯爵夫人の勉強に取り組みはじめたわ。父からは夫人の補佐をしながら領地で育てている植物や領民達が食べている物、料理、風習を全てリストアップし、精査するように言われているの。
中々ハードな事よね。優しい父は幻だったのかしら?って思ってしまう事もしばしばあるわ。
けれど、この厳しさがコルネイユ男爵を貿易王にしているのかもしれない。もちろん父が得た収益の大半は王家に納めているけれど、それだけでは他の貴族達から恨まれてしまうわ。だから領地を持つ貴族達の相談に乗り、場合によっては特産品を作るお手伝いなんかもしている。
あと、国中の孤児院に寄付をしたり、平民用の学校も作ったりしているわ。
国とコルネイユ男爵とは切っても切れない縁よね。
その縁を頼る人も多い。きっと後を継ぐアルフは大変ね。貴族の勉強をしながらずっと父とフルム兄様に付いて貿易の仕事を勉強している。
あれから五年。私もマティアス様も無事卒業し、結婚もしたわ。残念ながらレフト伯爵家の特産品は領地からは望めなかったの。けれど、ビーツの中でも特に希少とされているレアビーツの栽培に適した土地だと言う事が分かってコルネイユ男爵全力サポートの元、一大産地になろうとしているわ。
希少糖は他国からの輸入が殆どを占めていたので自国で生産する事が出来るとメリットは大きい。
一般的なビーツではないので希少価値が高い。近隣の領地に加工などをお願いしつつ協力しているのでレフト伯爵だけが優遇されていると批判はないみたい。
義父はというと、相変わらず騎士団長をしているわ。義母は私達に爵位を渡して旅行をしてのんびり過ごしたいと毎日ぼやいている。
マティアス様はというと、卒業した当初は騎士団に入り、次期騎士団長と目されていたのだけれど、レアビーツ栽培で領地が忙しくなるとあっさり騎士団を辞めてしまったの。
父の元で一年間修行した後、領地にかかりきりになっているわ。
もちろん私も息子と娘と一緒に領地の邸で暮らしている。マティアス様は子供を目に入れても痛くないほど可愛がってくれているし、毎日モアモアと飽きもせず呼んで抱きしめてくれているわ。
私はあの時『時戻り』をして本当に良かった。今が一番幸せです!
【本編完】
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本編、最後までお読みいただきありがとうございました!
皆様の疑問に思う『時戻り』の条件としてはまた会いたい、生きていたい等、強く願う時に発動するような感じです。
その際、時戻りをする人に直接触れている者も一緒に戻れる。
戻る条件は死。ノアはモアの死から5年後に戻りました。この5年がキーポイントだったのだと思います。
もしも、その場で一緒に時戻りをしていたらモアとモアの家族一緒に他国に逃げていたのかなーとも考えます。
この後、3話ほどマティアスの話があります。
よければ読んでいって下さい⭐︎
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