第4話 寺桜院タイムズの切り抜き 一枚目

 学園七不思議をたずねて:正門横のヤマザクラ


 我が校の正門を入ってすぐ左側に、樹齢百年を超えるヤマザクラの大樹があります。毎年の一学期が始まってすぐ、四月中旬にピンクの花を咲き誇らせるこの木も、七不思議の一つに数えられています。それはこんな具合に。


――正門の脇にある桜の大樹に赤い花が咲くと人が死ぬ


 歴史ある当学園ですが、この話がいつ頃から流布し始めたのかは不明です。しかし新聞部の過去の記録をたどってみた限りにおいて、ヤマザクラの木に赤い花が咲いたことはありませんし、ましてや誰かが死んだときに何らかの異変があったという話もありませんでした。したがってこの不思議は、何の根拠もない怪談であると考えても良いでしょう。


 この春から当学園の仲間入りをした新入生の皆さんも、今後いろんな場面で七不思議に触れることがあると思います。その際には、かつてここで学んだ先輩方の豊かな想像力の産物を楽しんでみてはいかがでしょうか。


(寺桜院タイムズ編集部)

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