第60話 北海道及び東日本の旅(2) ~試される大地、北海道……最北端から監獄の町へ特急の旅~



 稚内では定期観光バスに乗る予定にしていた。午後からの半日コースだ。

 もちろん、旅行前から予約済み。これに乗るために朝イチの札幌発の特急でやってきたとも言える。


 現地で路線バスとか、レンタカーでもいいんだけど……この歳になると、ガイドさんがいた方が楽ってのもある。ひとり旅だとレンタカーは無駄も多いし。


 ただ、定期観光バスの発車まではまだ時間があるので……とりあえず駅のお土産屋さんに入る。


 まあ、お土産なんてどこも似たようなもので、現地にゆかりの人で攻めてくる。山口県なら吉田松陰とか、そんな感じ。

 稚内は……なるほど間宮林蔵ですね。確かにそれはある。日本人でただひとり、世界地図に名前を残した男……カッコいい……。


 まあ、そういうお土産ではなく、私は鉄道関係の駅名キーホルダーとか、マグネットとかを見てるんですけどね。というか……なんだこれは!?


 ……『北海道廃線鉄道復刻時刻表クリアファイル』だと!?


 マジか……3枚入りで880円とか、3枚もクリアファイルなんか必要ないというのに、むしろ無料で配られたりしてるのがクリアファイルだというのに……。


 迷わず手に取ってレジに行ってしまったではないか……なんという魔力含有量なんだ……。テツ特攻があるぞ……。

https://discordapp.com/channels/1211498324264357888/1266740734841585766/1272831073042042880



 そんな風に時間を潰していると、定期観光バスの時間がやってきた。


 ところが、稚内ではお天気の方がちょっと……崩れてしまって……。

 寒すぎる……やばいぜ、最北端……。太陽がないとここまで厳しいのか!?


 とりあえず、防波堤のところでちょっとだけ見学。バスじゃなくても、ここは駅からも歩けるんだけどね。


 その次はタワーみたいなところに行って……でも、霧でほぼ何も見えない。マジで、タワーなのに残念だった。

 でも、オオカミのはく製があった。めちゃデカい。白いし、まるでフェンリルみたい。これはいい勉強になりましたね!


 そこからは最北端の宗谷岬ですね……。海沿いの道路から一度、丘陵地帯を抜けて……。


 やってきました日本の最北端へ!


 北緯45度、東経141度、わが国でもっとも北の地。


 ……記念碑が建てられてるけど、そのさらに裏側の堤防の端に立っておいた。たぶんここが本当に一番北の端だと信じてる。


 でも、雨風が強くてマジで寒いという……試される大地にめちゃくちゃ試されてる!?


 お土産屋さんでいろいろ買って、最後はノシャップ岬へ。納沙布岬ではないですよ? よく似てるけどね?


 稚内の地形を見てもらったら分かるけど、宗谷岬ともうひとつ、別の岬もあるんです。


 でも、やっぱり寒い。真夏なのに寒い。いや、真夏だからこの気温に対応できないのかも……。


 とりあえず稚内駅まで戻って……雨に濡れたせいであまり気力がなくて、宿まではタクシーで行った。駅から近いんだけど、本当に寒さで気力を奪われてた……夏なのに……。


 ……すげぇぜ、試される大地。

https://discordapp.com/channels/1211498324264357888/1273913100742955100/1274188487779946517




 翌朝、長期旅行4日目。北海道フリパ2日目。


 この日は移動日ですね。特に観光の予定もありません。


 そもそも鉄旅とは移動そのものが目的だったりするので。はい。


 稚内~網走だけど、旭川を経由します。

 北海道フリパの指定席券は、旭川で途中下車しなければ網走まで1回分の計算になる、らしい。


 ……でもね、稚内発06:36の特急「サロベツ」で旭川着10:19で、網走行きは旭川発12:41なんだ。


 待ち時間約2時間半をホームですごすのはキツい。旭川駅周辺ならいろいろできるだろうし。


 だから2回分消費してどっちも指定席です。もちろん、自由席でも座れたとは思うけど、正直なところ指定席だと指定席券が切符としてキープできるので。思い出を形に残せるんですよね。


 ……これも将来的には電子化してしまうんだろうなぁ。ちょっとさみしい。




 とりあえず、稚内駅で朝から撮影して、特急「サロベツ」に乗り込む。車両の中、乗客は私以外はふたりだけだった。他の車両にはいるかもだけど。


 稚内では天気が悪かったはずなのに、美深くらいになると普通に晴れてるのがびっくりだった。北海道が広いからだろうか? 音威子府くらいでくもりって感じだったのに。


 そして、旭川は完全に晴れてた。しかも、夏らしい夏……というか、あれ? それでもなんか涼しいような気がする?

 このへんは北海道の夏だからだろうか? 少なくとも西日本とか九州とかでこの感じはないはず。


 とりあえず、旭川ラーメンを頂きました。しょうゆだよね? 美味しかった。


 それから駅周辺をぶらぶらして、本屋で本を購入する。移動の車内で読むために。ちょうどDジェネの最新刊のタイミングだったから……これ、前の長期旅行でもやってたような……?


 旭川といえば、『北の国から』で富良野から出てくる都会ってイメージ。あのドラマから受けた影響はいろいろあるよなぁ……。

 まあ、あの昭和のドラマと比べたらずいぶんと変化しているはずだけど。




 2時間半なんて、何かしてたらすぐに過ぎてしまう時間だったりする。待つだけだと長いけどね。


 乗り換えたのは特急「大雪」でした。旭川発12:41で、網走着16:34です。いやもう、北海道広すぎでしょう? 稚内発06:36だったから、旭川での待ち時間も含めたら10時間だからね!?


 いっぱい特急に乗っていられて嬉し過ぎるだろ!?


 そんな特急「大雪」ですけど……なんと、車内販売があった! 新幹線でもなくなりつつあるというのに……。


 車内放送で言っていたのだけれど、北見工業大学の鉄道研究会が石北本線の路線維持に協力するために頑張ってるらしい! なんて立派なんだ! 素晴らしい!


 ……これは協力するしかない。


 いろいろと買い込んでお金を落としておきました。白花豆プリンがめちゃうまでした。




 さて、石北本線といえば遠軽駅のスイッチバックですね。名寄本線の名残というか。坂道ではなく平面のスイッチバックですね。


 名寄本線は「本線」なのに全線が廃止されたというかなしい路線……。


 宗谷本線の名寄駅から遠軽駅へとつながっていた関係で、旭川~網走間を走る列車はここで進行方向を変える(スイッチバック)んですよね。


 鉄道の廃線史を知らなければ「なんで向き変わってんの?」って思うだろうなぁ。


 待ち時間が長ければターンテーブルもあるんだけど……。


 稚内で購入した『北海道廃線鉄道復刻時刻表クリアファイル』を取り出して、ぼんやりと眺める。

 クリアファイルには時刻表だけしか載ってないけれど、3枚のクリアファイル以外に、表書きとなるA4で1枚の紙が入ってる。その紙には地図も描かれていたのだ。


 ……そうそう。遠軽から海の方へ出て、オホーツク海沿いを走って、また名寄へ向けて内陸を進んでいくのが名寄本線なんだよな。ぐるっと迂回する感じなのはこのへんの地形の問題で当時の技術では北見峠が厳しかったという……。


 湧網線と名寄本線と興浜線、それから天北線でオホーツク海に沿って網走と稚内をつなぐはずが、浜頓別から興部を結ぶ興浜線が全線開通前に、興浜北線、興浜南線ともに廃線になってしまって……って。あれ?


 私はじっとその地図を見つめた。気になったのは……。


 あ! 中湧別が「中標津」って書かれてるじゃねーか!? そりゃ違和感あるっつーの!?


 なぜか遠軽スイッチバックでノスタルジーを感じていたら、お土産のミスを発見してしまった……。


 ええと制作は株式会社交通新聞社の北海道支社か……機会があれば間違っていると伝えたい……。




 北見駅では車内販売やってた学生さんたちが降りていった。心の中ですごく応援した。これからも頑張ってほしいところだ。


 あとは女満別駅をすぎてからの、網走湖の車窓かな? 湖っていいよね。




 そして16:34、定刻に網走駅へと到着しました。


 ヘッドマーク(電子)の撮影をしたら、「大雪」じゃなくて「オホーツク」に変わってた! まあ折り返し運転だからしょうがないよね。


 もちろん観光する時間とかはない。でも、網走駅の中だけでも、これがなかなかおもしろい。

 ヘッドマーク(印刷したもので本物ではない)が掲示されていたり、懐かしいゲームのボードが立っていたり(『オホーツクに消ゆ』って知ってますか? あのドラクエの堀井雄二さんのゲームですよ!)。


 網走は以前、来たことがあるし、その時に監獄とかも見学済みなので、あまり気にせず、ホテルへチェックインして、ゆっくりしました。

https://discordapp.com/channels/1211498324264357888/1273913100742955100/1274200408042242048




 ちなみに「北海道フリーパス」ですけど、初日と2日目の利用で、金額的にはほとんど元が取れてるという。さすがは北海道、スケールが違うぜ……。


 まだまだつづく。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る