第21話 か・る・た・び。滋賀、行ってみた。~リアルちはやふるワールド~

※前書き失礼します。

 ちはやふる、完結から1年。

 そして、相生、勝手にちはやふる完結1年記念!

 滋賀へ行った時の旅エッセイです。

――――――――――――――――――――――――



 名作が終わりをむかえようとするその時。


 今でしょ、と。


 滋賀、行ってみた!


 目指すは近江神宮。カルタの聖地。リアル・ちはやふる・ワールド!






 2022年の夏。約半月の長旅を終えた相生は、またすぐに旅立った。おまえ、ちょっと、人として大丈夫か、とか言われそうだけれど。


 乗り放題切符のケチケチ旅ではなく、新幹線を利用して、まずは新大阪入り。そこで乗り換えて、快速で京都を目指す。

 新幹線の新大阪~京都間は、JRを西日本から東海へとまたぐからね……。在来でもあんま時間はかからないので、新幹線で京都までは乗らない。


 京都駅はものすご~く、綺麗になったんだけれど……まあ、なんていうか、大阪駅とかもそうなんだけれど、好みが分かれると思う。うん。


 とりあえず、いつもの鉄道模型のお店をちらりと覗いてから、空中通路を歩いた。夜の京都タワーがめっちゃ目立つ。まあ、そうか。寺社仏閣がライトアップされるのはちょっと……。東大寺のお水取りみたいなんならいいけれど……。


 地下鉄で四条へ移動して、ホテルへ。ホテルはちょっと河原町に近い。でも、アニメイトもブックオフも近いので、京都ではお気に入りのホテルだ。


 京の都は今、まさに祇園の夜、という感じなのに、祭りはガン無視して、おやすみなさい。


 ま、京都は前泊で、目的地ではないから……。






 翌朝、お散歩でウォーキング。四条通をまっすぐ歩いて、八坂神社へ。あ、古都に配慮した色ってことで有名なあのローソンが潰れてる……。おおう、そりゃ残念だったね……配慮してた意味とかなかったり……。

 そのまま八坂神社に突入して、さらには通り抜けて、大谷祖廟へと入っていく。そして、祖霊に祈りを捧げて、来た道を戻る。本当は、小路に入って歩くと、色々と面白いけれど、今回は京都が目的地ではない。


 ホテルに戻ると、シャワーで汗を流して、それから荷物をまとめて再出発。


 京阪三条から藤森へ。藤森の駅の雰囲気って、こんな言い方をするのは変かもしれないけれど、なんか隠れ家って感じがする。割と普通の大きな駅なんだけれど……。


 うろうろと歩いて、目的地はスイーツのお店。パフェとかが有名。体験もできるらしい。駅からちょっと遠いのが残念ではある。車だよなぁ。


 私は迷わず、ダブルもも畑という、まるごとふたつの桃がのっかってるパフェを注文した。


 ……っていうか、コレ、どうやって食べんの? いや、もちろん、どうやってでも食べますけれどね? 桃とか大好きですし?


 美味しかったです……。また来る、絶対。






 腹ごなしに駅まで歩いて、三条へと戻る。ちょっとしたスイーツのための寄り道だった。


 乗るのは地下鉄東西線だけれど、そのまま、琵琶湖へ行く京阪の京津線を利用して、とりあえず上栄駅で降りる。そうそう、こういう駅なんですよ、こういうの、求めてる。せんまいスペースに無理矢理作った蛇のように長細いこの駅。いい感じ。あと、京津線は京都方面から乗ってくると地下鉄、地上、路面という、みっつのパターンを全部味わえる、一粒で三度美味しい路線だ。


 京都と大津って、めっちゃ近いんですよねー。こんなに近い都道府県庁所在地って、他にもあるんかな? あ、東京と横浜か……。


 とりあえず、歩いて今日のホテルへ行って、一度、荷物を預ける。

 大きなバックパックから小さいリュックへ。このリュック、折り畳み式で重宝してます。


 ホテルを出て、下り坂を琵琶湖へ向かって歩く。一度踏切を渡って左へ。有名なあのホテルが見えるけれど、まずはびわ湖浜大津で京阪の石山坂本線を利用する。もちろん目的地は近江神宮前だ。


 浜大津の駅から交差点へと出て行く時の路面電車っぽい感じが最高。ま、途中でそれはなくなるんだけれどね。でも、路面電車って、いいよね。


 近江神宮駅は、まっすぐな感じが上栄駅とは違って、ごくごくフツーの平均的な駅だ。


 もちろん、ここから歩いて、今回の旅の目的地である、カルタの聖地へ。


 近江神宮。天智天皇をお祀りしてるんだけれど、同行していた友人は、天智天皇と中大兄皇子が同一人物だと知らなかった……。おおぅ、私が知らない間に、新たな別人説でも生まれたのかと思った。


「え? 大化の改新の人なのか?」って言われて、まるで私の方が間違ってるのかと思った……。


 あきのたの、で始まる百人一首の巻頭歌が天智天皇の和歌だ。ちはやふる的にはあきの。ちなみに娘の持統天皇は、はるすぎて、の歌が有名。


 そもそも、なんで行こうと思ったのかというのは、もちろん、ちはやふるが大好きだということもあるし、それでいて、実際に競技かるたを生で見たことがないということもあって……1回くらい、見てみようかな、と。それも、せっかくなら、ちはやふるにあった高校生のかるたを……。


 でも、まあ、近江神宮って、樹々が豊かで清浄な雰囲気もあるし、かるた関係なく、いいところなんだけれど、いたるところにかるたが飾られてて、自らかるた推しだという……。


 お参りを済ませたら、近江勧学館へ。ふふふ、やってきたぜ、全国高等学校小倉百人一首かるた選手権大会! 全然出場者とかじゃないけれどな! むしろ鉄道乗車の方が目的かも!


 会場前にいくつかのテントが立てられてて、いたるところでちはやふる推し。等身大のちはやをはじめとして、キャラクターがそこにそろってるし、今日はあっついなぁって思ってたら、ちはやふるのうちわを配ってくれるし、入口には机くんノートまで!?


 ただ、まだまだコロナの余波で、中までは入れない感じ。入口からちらりと見た高校生の熱い戦いは団体戦らしい。いや、マジで初めて見たけれど……本当に5・7・5・7・7の最初の何文字かでばんばん叩き合うんですね……これは、マジでエグかった……。


 感動してはいたけれど、同時に、呆然としていたかも。すごすぎて。


 コミックではどうしても静止画。アニメは動いてるけれど、現実感はどうしても足りない。でも、ここでは生身の高校生が戦ってる。すごい。競技かるた、マジすごかったです……。






 帰りは南滋賀駅まで歩いて、そのまま坂本比叡山口へ。


 やっぱり、行き止まりの駅はいい。果てまで来たという達成感と、ここでおしまい、という寂しさと。折り返していく車両を見てると新たな始まりも感じる。


 でも、比叡山のケーブルカーの方には行きません。そこは何度も行ってます。(ちなみに以前、比叡山に登った時は、京阪がちはやふるラッピング車両を運行してましたね……。もちろん乗りましたよ……。)


 逆方向へと歩いて、JR湖西線の比叡山坂本へ。そこから堅田を目指す。


 駅からは琵琶湖方向へと歩いて、琵琶湖が近くなったら右へ。そのまま昭和の匂いがする街並みを眺めて歩いて、途中、老舗の和菓子屋さんで、パイナップルのフルーツ大福を頂きました。

 え? 老舗なのにパイナップル? フルーツ大福? ま、今はそういうものなんでしょうね。美味しいから特に問題はないし。


 寄り道したのは暑いから、ちょっと休憩って感じだった。


 そこからは完全に琵琶湖沿いに歩いて、日本一の湖のでかさに圧倒される。でも、ここって南湖の方だから、まだまだこの何倍もでかいんですよね……どんだけでかいんだ、琵琶湖……。


 そして、行っておきたい有名観光地、満月寺の浮御堂。


 湖の上にある浮御堂を見るのも、浮御堂から琵琶湖を眺めるのも、どっちもよかった。

 北の方に大きな橋が見えるけれど、あの向こうに、まだまだでっかい湖が広がってるんだと思うと……人間って小さいよねぇ……。






 帰りはバスを利用。暑くてもう歩くのはかなり辛かった。


 堅田から大津京まではJRで、そこで京阪大津京へと乗り換えてびわ湖浜大津へ戻る。


 ホテルへ戻ろうか、琵琶湖の方へ行こうか、悩んでいたら、めっちゃ美味しそうな匂いがする。これは肉の匂いだ、と。


 なんと、文化財の旧大津公会堂の中に、近江牛が食べられるお店が! こりゃ近江牛を食べるしかないよね、と突入した。


 近江牛ハンバーグ、近江牛肉寿司、近江牛すじ煮込み、近江牛花咲しもふりステーキ、近江牛入りすぎコロッケ……ここは、もはや、近江牛のパラダイスや~!


 めっちゃ美味しかったです……。


 ちなみにこの旧大津公会堂も、高校生のかるたの会場だったりする。びっくり。文化財ってそういう使われ方、するんだ……あ、そういや、県庁の建物もそんな感じだったような気が……。






 翌朝。昨日は食べすぎたからと、まずウォーキングから。


 琵琶湖方面へとまっすぐ歩いて、琵琶湖沿いを歩いて……琵琶湖沿いがほぼほぼ全部公園みたいになってるってすごくないか? それともこれが琵琶湖の普通なのか? ていうか、やっぱり琵琶湖ってでかいな。


 途中、県庁も見たけれど、なかなかいい感じの建物だ。左右の対称な感じは国会議事堂に通じるものがあるけれど、やっぱり県庁だからなのかな? そういや、ここって平等院も意外と近いし。


 ホテルの朝食を食べに行くと、あきらかにちはやふってる高校生っぽい子たち(荒ぶっているワケではない)を発見。いや、だって、Tシャツの背中にそういう感じの漢字が書かれてるから……。きっと今日の個人戦に参加するんだろうな、と。


 ホテルに荷物は預けたままでチェックアウトして、昨日の旧大津公会堂に行ってみた。また、ちらりと高校生がかるたで戦う姿を見た。感動的ではある。大人になったから、そう思うのかも。青春って、今、振り返るといいよね……。


 それから、琵琶湖の方へと移動して、船に乗る。ミシガンだ。外輪船。琵琶湖なのにミシガンとはこれいかに。あ、五大湖の方が琵琶湖よりも大きいのか……世界は広いな……。


 ミシガンクルーズは南湖を周遊する。船から琵琶湖と比叡山を見るのはなかなかいい感じ。


 でも、一番興奮したのは、競艇場!

 いや、もう、モンキーターンの聖地ですよね……。このミシガンからの波を乗りこなさないとダメなんですよ! 流石は河合大先生だ! 日本船舶振興会が競艇初心者の入門書として推薦してるし! マンガなのにな! マジすげぇ! パねぇ!

 ただし、主人公の恋愛的にはモンキーターンのケンジはちょっとアウトな感じ。最終的には幼馴染が勝つというのは帯ぎゅの河合大先生の鉄板だけれど……。でも負けヒロの桜子大好き……超可愛い……。


 恋愛的といえば、この後、完結したちはやふるも、恋愛的には大荒れだったらしい。私は別に。私にとってのちはやふるはソコじゃないし。心揺さぶられるところは恋愛的なところじゃないし。

 もっと部活的な、仲間的な、友情的な……めっちゃ泣かされたマンガだ……。

 要するに机くんの彼女とかいう部分には特に何も感じないけれど、ちはやの親友としての部分には何度も泣かされるんですよ……映画のあの子はみつはでもあるし……朝ドラはちょっと納得してない。ただ演技力はすげぇ。ぱねぇ。


 物語で三角関係を描くのは、人間関係における葛藤を描くための古典的な基本だと思うんだけれど……みゆき、タッチ、うる☆、めぞん、オレンジロード……などなど多数。全部マンガだけれど。

 ただ、その結果で読者が納得できないとか言い出すって怖いかも。あ、そういや、私もいっぱい女の子、登場させてる。やばい、気をつけよう。


 ま、そんな湖上の旅を楽しんで、それもまた、南湖だから琵琶湖全体の何分の一なのか、とか思って琵琶湖の広さに戦慄したりしつつ、帰りはJRの大津駅へ。


 ところが。


 ここで、全然電車が来ない……。


 なんと、大阪の方で不発弾の処理が必要だったらしくて、ずーっっと運休してた。いや、もう、かなり待ちましたよ……。そんなことってある!?


 動き出したら、新大阪で新幹線に乗るだけでした。新大阪駅もエキナカがここ数年でなんかすごいからなぁ……。だいたい、新幹線に乗る前にチーズケーキを買ってワンホールをぺろりと……りくろーおじさん、いつもごちそうさまです……。


 まあ、JR西の株主優待なしではそもそも新幹線にあんまり乗らないけれどね。


 かるたを見に行って琵琶湖の思い出で今、改めて恋愛について考察するとは、これも、けっこう変な旅だな……相生は変な旅しか、しないらしい。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る