第20話 長旅の終わりに。東京にも行ってみたいところはあるのだ……
フェリーでの北海道行きに後ろ髪引かれつつホテルで眠り、そして、目覚めた翌日。
今日は羽田空港から最終便で帰るのだ。この旅の最後の日が今日なのだ。
とりあえず水戸駅から常磐線で日暮里駅へ行き、山手線か京浜東北線か……たまたま京浜東北線が先に入線したので京浜東北線に乗り換えて、秋葉原駅へ。
この、山手線と京浜東北線の並走は……いつも気になるんだが、なんでなんだろう?
秋葉原駅は、これまで筑波へ行くために何度か来たことがあったので、意外と慣れている。メイド喫茶も楽しいだろうけれど、今は総武線に乗り換えて水道橋駅へ。
ここからは都営三田線で一駅。目的地は神保町駅だ。
東京の乗り換えは、便利というべきか、不便と言うべきか、悩むものがある。どこでも鉄道で行けて便利なのだけれど、いくつもの経路と乗り換えがあって、分かりにくくて不便でもある。
さて、やってきたのは、東京都千代田区神田神保町である。ここは、いろいろあるが、古書の街であり、カレーの街でもある。
今回の目的はカレー。『欧風カレーボンディ』だ。最近はエスビーさんからレトルトも出ているんだが、やっぱりお店で食べたい。じゃがバターが最高なので。この近くの企業で働いているらしい、きわめて平均的なサラリーマンと同じ世代なので喫茶店の『さぼうる』もとても気になるところだが、今回は『ボンディ』だ。神保町のお店に来るのは初めてだし。
家の近くにあったボンディのカレーが食べられるお店って、全滅してしまったのだ。ひょっとしたら私が知らないだけでどこかにあるのかもしれないが、少なくとも私は知らないので。
……あんなに美味しかったのに、なぜ潰れた? 確かに価格帯がちょっとアレだから、私もたまにしか行ってなかったけれど。
開店前なのに既に7人、並んでた。流石は人気店だ。これくらいは日常茶飯事なのだろう。8人目に並ぶが、階段の上、というか途中。バックパックがきつい。ウェイトレスのお姉さんが、人数確認と注文を並んでいる間にやってくれる。
開店したら吸い込まれるように中へ入り、座席に通された。最初の座席数には含まれていたらしい。ラッキー。
ほとんど待たずにビーフカレーの大盛が目の前に。じゃがバターも付いてくる。もう最高。
https://discordapp.com/channels/1211498324264357888/1211896655184400425/1246084725395947661
四角いカレー肉がほろほろに柔らかく煮込まれていて、癖になるスパイシーでいてなおかつ甘みも感じるカレーがごはんとチーズとのコラボレーションで私を攻め立てる。じゃがバターもほくほくで、カレーとの相性もばっちりだ。
こうやって味わうと、自分が食べたい美味しいものって、もう東京まで来ないとダメなのかも、とか思うと悲しい。やっぱりレトルトだと限界もあるし……逆にレトルトなのにあそこまで美味しいとか、すごくないですか……。
地方に住んでると、東京が羨ましくなる時がどうしても出てくる。だからといって東京に引っ越すなんて、できないんだが。
行列ができていたので、ゆっくりとはせずに、すぐにお会計を済ませて外に出た。本当に人気店なんだなぁ、と実感した。だって、行列、いつの間にか外まで続いてたからね……。
まだまだ時間のゆとりはあるはずなんだが、元々ビビリなので、どうしても空港には早く行ってしまうクセがある。絶対に乗り遅れたくないって感じで。
慣れない東京でちょっとでも間違ったら、時間のゆとりがないと飛行機に乗れないかも、とか思ってしまうのだ。
神保町駅から日比谷駅までは都営三田線で、そこから歩いて有楽町駅へ行き、山手線で品川駅まで到着した。
あとは京浜急行で羽田空港まで行けるんだが……乗り換えでICOCAをタッチしたら警報音が鳴り響く! やられた!
東日本パスのような乗り放題チケットでの移動中に、こういう乗り換えのために交通系ICを使うと、その前の入場記録がないからダメらしい。
いや~、めっちゃ恥ずかしいわ~。
係員さんのところへ行って、東日本パスを見せて、一度品川駅の改札を出たことにしてもらって、ICで京浜急行の方へ入れるようにしてもらった。
そこから羽田空港までは一本だ。
コロナ禍でずっと旅行は我慢していたので、羽田空港も久しぶりだった。予想以上に人がいっぱいいて、やっぱり羽田は人が集まるんだなぁと感動していた。
いつも思うのが、空港のエスカレーターのところのローソン。空港のローソンだからエア・ローソンなんだろうと思うのだが、店員と客がパントマイムでもしてエア売買をしてそうな名前だと思ってしまう。エアギターみたいに。私はやっぱり変な人種なのだろう。そんな訳ないのに。
いつもだったら『東京カルビ』で何か丼ものを食べるのが羽田での定番だが、今日はボンディで大盛カレーを食べてきた。
なら、いつものスイーツは食べておこうと、千疋屋でオムレットを手にした。季節もののマンゴークリームのヤツだ。
最終便までの時間は、今回の旅行のノートまとめ。思い出を記録しないと忘れてしまうくらい、もう年齢を重ねてしまったのかもしれない。脳が若くないのだ。
そして、最終便は、ありがちな出発の遅れ。修学旅行の中学生なら喜んだかもしれないが、大人になった今は、毎回、なんで遅れるんだろうな、っとか思ってたりする。まあ、欠航になるより、遅れるだけで済んでいるのなら、マシなんだろう。
羽田を離陸する頃には、目を閉じて眠りに入る。
ああ、約半月の旅もこれで終わる。でも、いつかまた、どこかへ。
そう願って、私は睡魔に身を委ねたのだった。
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