第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部

夏野けい

ペディキュアを靴に隠して青き踏む

 春は自分のためだけに足の爪を塗る。

 不安な暖かさに負けないように、身のすくむ突然の寒さに怯まぬように。靴下を履くまえ、シャワーを浴びるとき、私が選んだ色が足元をたしかにしてくれる気がするから。

 ほら、おそろしいまでに健やかに青い草むらだって、靴に隠した色をお守りにすれば背筋を伸ばして渡っていける。

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