04.オアリブの特異性

「え、何が起こった?今」


 心の底から出た疑問だった。


「いや、知らん。こっちが聞きてぇわ」


 藤真に物凄い平坦な声で返答された。


「いや、なんかさ、やめてぇーって思ったのね、このゲームを。そしたらなんか機械音声が聞こえて、なんか知らんけどゲーム終わってた」


 藤真に外へ引っ張り出してもらいながら、状況を整理できないままに伝える。


「へぇ……オアリブってやっぱスゲーのな」


「いや、そんな……もんなのか?」


 思った以上に淡白な返事が返ってきて、少し困惑する。


「そんなもんだと思うぜ。なんたって最新のゲームだぞ?そういう機能も充実してんだろ」


「そ、うか……」


 別に藤真よりゲームに詳しい訳でもないので、特に反論もなく納得する。


「とにかくどうだったよ、オアリブは。お気に召さんかったか」


「いや、やっぱ俺にはゲームは無理やと思う。目とかの問題じゃなくて、俺あんま体強くないし……」


「そういう問題か……?あっ、もしかして最初のチュートリアル片手剣にして難しさに辟易しちゃった感じ?そういうことなら気にすんなよ。オアリブの剣の扱いクソムズいって有名やし」


「いや、でも……」


「他にもなんか魔法的なのあっただろ。そっちの方使えば?

 ……あ、一番大事なこと聞くの忘れとった。久々の景色は、どうだった?」


 ──そうだ、確かにあの時の俺の目は今では考えられないくらいに機能していた。


「……剣に興奮しすぎて忘れてた」


 どうやらそれに関しては感動もクソもなかったようだ。

 剣最高。でも重過ぎ。


「なんだそりゃ、結局楽しんだんじゃん」


「まぁ、確かに楽しかったな。剣なんてもう一生触れることも見ることもなかっただろうしなぁ……」


「んじゃ、一旦はそれでいいじゃん。家でやるかどうかはまたみんなで考えよーや。家族会議開いてさ」


「そうだな。あー、なんかスッキリしたわ。サンキュ」


「いいってことよ。あ、そこ段差」


「うわっ……あ、あぶねぇー」


「ふはっ、なんかデジャブ」


「……笑い事じゃねぇよ、コノヤロウ」


 藤真は楽しそうに声を弾ませるが、その反対に俺は若干不貞腐れながら、二人で帰路についた。

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