希望の光

水竜寺葵

プロローグと注意事項

※注意※


 ①このお話は殺人事件を題材としております。


 ②血表現多めに出てきます。


 ③暴力的表現や残酷模写が出てきます。


 ④誰も助かりません。


 ⑤この物語は自殺や殺人をほのめかしたり、促進したり肯定したりしているわけではありません。あくまで物語(フィクション)として考えた作り話ですので現実として捉えないでください。またフィクションとして捉えられない現実と非現実の狭間にいる方は御拝読するかどうかは今一度考えてからご検討ください。


以上の事をご注意のうえ問題ない方のみご拝読下さい。


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 校舎の前に寝そべっている一人の少年。彼の名は奏介そうすけ。そんな彼の周りをぐるりと囲い心配そうな顔で見詰める年齢も性別もバラバラの男女。


「うっ……いてて……」


「あ、目が覚めたみたい」


「奏介、大丈夫か?」


気を失っていた彼がなぜかひどく痛む頭を押さえながら起き上ると黒髪ロングヘアーの少女が安堵した顔で微笑む。


そこに銀髪ツンツンヘアーの青年が口を開いた。彼は奏介の友人である海だ。


かい? ……えっと。あれ? 僕どうしてこんなところで寝てたんだろう」


「いきなりで状況が呑み込めないのも無理は無いわ。私達も目が覚めたばかりの時は困惑したもの」


必死に記憶を遡りどうしてこんなところで眠っていたのだろうと考えてみても、何も思い出せずに困惑していると妖艶な微笑みを浮かべる女性が声をかけてきた。


「とりあえず、付いて来てくれ。また一から状況を説明しないといけないからな」


「は、はい……」


一番年長者である男性の言葉に奏介は返事をして皆の背へと付いて歩く。


付いて行った先は校舎の中。たくさん並んでいる教室の一つへと入るとその黒板には赤い色のチョークで書かれた文字が残されていた。


【ここに集められたメンバーでこの学園に隠された謎を全てときあかせ。謎がときあかされたならば皆ここから解放されるだろう。謎がときあかされなければ***は生きてここから出られない】


「いったい、これは何なんですか?」


大事な部分は抉られていたため読み解けなかったが、黒板に書かれた文字に冷や汗を流し震える声で奏介が尋ねる。


「見ての通り、俺達は皆この学校に閉じ込められてしまった。この文字を書いた奴が誰かは分からないが、ここから生きて出るためには学園に隠された謎を全てときあかさないといけないらしい」


「……」


男性の言葉に彼は言葉が出せずに絶句する。家に帰る為にはこの学園に隠された謎をときあかさなくてはならないのだ。しかも、謎が解明されなければ生きてここから出られないと書いてある通り皆死んでしまうのだろう。


「とりあえず自己紹介しようぜ。俺は畔柳くろやなぎ


「私は瑠璃るりよ」


男性が自己紹介してくれると隣に立つ女性が続けるように口を開く。


「私は優紀ゆきです。よろしくね」


「オレは……言わなくても分かってると思うけど、海だ」


黒髪ロングの少女が微笑み言うと、海も一応形だけ自己紹介する。


「ふん、亮人あきとだ……」


「ま、まぁ……亮人君態度悪いけど悪い子じゃないと思うから、おいおい仲良くなっていけばいいと思うよ、ね。あ、わたしは彩夏さやかです」


腕を組み机に脚を乗せ気怠そうな態度で少年が言うと、苦笑しながら亜麻色の髪の少女が答えた。


「わ、私は恵弥めぐみです……」


「俺はひかる。ヨロシクな!」


おどおどとした様子で少女が控え目に声をあげると、隣に立っていたバッドを持った少年が笑顔で名乗る。


「は~い。私はれいです」


「僕はしゅうでーす」


「「よろしく!」」


顔のそっくりな女の子と男の子がお互い手を組んで自己紹介した。


「ふ、双子?!」


「そうよ。私達とっても仲良しな双子なの」


「双子は初めて見る?」


奏介が驚く様子ににこりと笑い鈴が答えると続けて朱が尋ねる。


「う、うん。気を悪くしたならごめんね」


「「大丈夫だよ」」


彼が失礼な発言だったかと謝ると二人はタイミングピッタリに答えた。


「う、うん!! ……ぼくはあきらだ」


大きな咳払いで場を戻した青年へと皆が注目する。それを感じ取った彼が名乗る。


「僕は奏介です……え、えぇと。状況がまだいまいち呑み込めていないけれど、よろしくお願いします」


最後に奏介へと視線が集中したので慌てて自己紹介をすると皆微笑む。


こうしてこの学園に隠された謎を全てときあかし、家に帰るために集められたメンバーとの生活が幕を開けた。

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